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2008年の記事

 

 

 

 

桑名商事株式会社

 

企業発展のカギ握る環境経営

業種:メッキ業
桑名商事株式会社

企業にとって環境対策は最大の経営課題だ。かつて「環境対策は収益を生まない。できれば投資はしたくない」という考えが経営者には根強かった。しかし、ISO14001や化学物質規制であるRoHS指令などに象徴されるように、環境対策に取り組まない企業は市場から退場せざるを得ない社会情勢になっている。メッキなどの表面処理を総合的に手がける桑名商事株式会社(栃木県真岡市)も環境対策に万全を期し、かつ環境対策のための技術開発にも力を入れている。

メッキ業界は六価クロムやニッケル、鉛など様々な化学物質を大量に使用しているため、環境基本法、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、土壌汚染対策法などの法律により規制されている。無論「法律があろうとなかろうと、環境対策には万全を期す」ことは当然だ。万が一、環境への対応を誤れば法律とは関わりなく社会的に指弾さる場合もある。

桑名商事は早くからメッキ材料、メッキ溶液、機械設備などあらゆる面で環境対策を考えてきた。環境方針の基本理念に「全ての人々の創意により次世代に継承できる環境づくりを目指す」と謳い、重点課題として、排出水の削減、化学物質の削減、産業廃棄物の減量化とリサイクル化の推進など5項目を掲げるのも、環境に対する認識の深さといえる。

同社は鉛や六価クロムなどの有害物質を用いないメッキ法の研究開発を続けている。2006年には経産省から「有害物質フリー高機能めっきの開発」というテーマで「中小ものづくり高度化法」の認定を受けた。すでにテフロンなどの微粉末を加えた「分散メッキ  シンジットシリーズ」を開発している。さらにこれまで培ってきたパルス無電解メッキ技術と、東京工業大学大学院理工学研究科の微粒子研究の成果、宇都宮大学大学院工学研究科の被膜評価技術を融合することにより、セラミックスやダイヤモンドを直径10ナノミリから100ナノミリの微粒子にしてメッキ液に混ぜることを考えている。

従来の鉛や六価クロムはメッキは環境負荷が大きく、処理費用もかさむことになるが、鉛や六価クロムの代替としてダイヤモンドなどの粒子を用いることで廃液処理量が大幅に削減でき、環境負荷の低減に役立つとみられている。しかも、実現すれば製品の耐摩耗性や耐久性が向上するメリットもある。メッキ業界に限らず、いかに環境経営に邁進できるかが企業発展のカギを握っている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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