株式会社スマートサポート
■「スマートスーツ・ライトで軽労化」
業種:軽量化技術の研究
株式会社スマートサポート
ある時、メロン栽培農家に行ったら「ハウスでやる中腰作業が大変辛い。何かいい方法はないか」と相談を受けた。間もなく縁あって大学の先生と会う機会があり、一緒にメロン畑で作業を体験した。その後、先生は作業を軽減する新しいコンセプトを打ち出し、先生は大学人の立場で、本人はその技術を実用化レベルに落とし込む立場で共同研究を始めた。
本人とは農業コンサルティングもしている鈴木善人・スマートサポート(札幌市)代表取締役社長、先生は田中孝之・北海道大学大学院情報科学研究科システム情報科学専攻准教授。田中氏は元々ロボットの専門家だったが、今度は人に取って代わるのではなく人の作業はそのままで、労力、疲労を軽くする「軽労化」というコンセプト・技術を考え出した。
このコンセプトに沿って開発した介護労働や工場作業、農作業などの軽労化のための筋力補助スーツ「スマートスーツ・ライト」は腰を曲げると伸び、再び戻ろうとするゴムの力で背中を起こす原理を応用したスーツ。これは最初に開発した、モーターの力だけで行う「スマートスーツ」の簡易版だが、これがすこぶる評判がいい。
このスマートスーツ・ライトを東日本大震災の被災地で作業する現場向けに提供したところ、「これを着ると体の負担が軽くとても作業が楽」と大評判になった。しかしたくさんの量は出せない。同社は「製造販売を目指しているわけではなく、技術移転して広く世の中に普及させたい」(同)と考えているので、現在は希望者にモニターとして使ってもらう程度の量しか作っていない。
同社は中小機構北海道支部が運営するインキュベーション施設・北大ビジネス・スプリングに入居して3年目。同製品への引き合いは大手企業を含め極めて多く、また直接同社を訪れる人も多い。海外からの引き合いもあるほどだ。「ビジネスパートナー募集中!」と同社長は国内企業に期待する。ベンチャーの起業が一時に比べ停滞しているのでは、ともいわれる昨今、このベンチャー企業の大きな夢がぜひ実現してほしいものだ。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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