株式会社マルハチ村松
■現状維持は衰退の道。常に変革を志向。
業種:業務用かつおダシメーカー
株式会社マルハチ村松
歴史に埋もれることなく、長く輝いている企業は、現状に安住せず、常に新しい課題に挑む企業スピリットがあふれているものだ。社齢を感じさせない柔軟性をあわせ持つのも特色。業務用カツオだしメーカーの株式会社マルハチ村松(静岡県焼津市、村松憲行社長)はそうした典型の一社だ。
同社は明治元年(1868年)の創業。カツオ節製造業としてスタート。以来140年近い歴史を持つ大老舗だ。簡単な歴史ではない。時代の変転も大きい。その中で、カツオ節部門を大事にしながら、液体状の「鰹(カツオ)エキス」や、粉末状の「鰹の素」といったカツオだしの商品群を拡充し、食品メーカー向けや業務用を主力に成長してきた。
同社が機能性食品に着目したのは90年代の半ば。「消費者が食品に対しておいしさだけでなく、健康を求めるようになりつつあった」(村松社長)ことが背景にあった。そうした折、食品メーカーから機能性食品用素材の製造委託を受けた。この素材作りには、長年、カツオだし製造で培った抽出技術などの高い技術力要求される分野だった。伝統が現代に生きる、だ。ものごとは、展開し始めると思わぬ展開に入る。その受託製造をこなすうちに「オンリーワン技術を開発したい」(同)との思いが強くなった。この思いは、初のオリジナル素材「マックスシリーズ」の研究開発へと結実していく。そのひとつ「ボニマックス」は文教大学との共同研究で取り組んだ。カツオの身から抽出したヒスチジンやタウリン、アンセリンが主成分で、脂肪燃焼効果を見込む。また、「ボニマックスPL」は静岡工業技術センターと共同で取り組んだ。静岡県立大との共同研究も進んだ。カツオや海藻から健康促進効果が期待される成分が次々生み出されつつある。これらの分野で5年後に5億円という年商をはじき出そうとしている。
この一方で、新たな柱としてバイオ医薬用の素材開発に取り組んでいる。製薬会社向けで、細胞培養の栄養素となる素材で、カツオなどの赤身魚が原料だ。いうまでもなく既存のカツオだし事業も見直しをはかりつつ発展させていこうとしている。「現状維持は衰退。常に変革を指向しなくては」と、革新的に伝統を受け継ぐ考えだ。創業時の想像を超えて、改めて、カツオから汲みつくせない力を引き出そうとしている。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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