丸京製菓
■自社ブランド「どら焼き」で新和菓子文化を創出
業種:菓子の製造販売
丸京製菓
和菓子は日本文化を象徴するお菓子。家族、友人あるいはお客様の接待にと様々な場面で和やかな雰囲気を醸し出してくれる。これを作っているのは、老舗といわれる歴史ある和菓子屋か、規模は小さいが手作り職人の味が評判の店あるいは食品流通メーカーというのが一般のイメージ。この和菓子マーケットに山陰の地方都市から新しい視点で挑戦している異色の中小企業がある。
鳥取県米子市に本社を置く丸京製菓(鷲見浩生社長)がそれだ。最も大きな特色は「どら焼き」の年間生産量が世界一という点。何と生産量が単一の工場で年1億3,000万個に上り、海外15カ国へも輸出している。創業が1958年、かつては他社ブランドのまんじゅうや観光土産が主力だったが、売り上げの65%を占めていた菓子問屋が94年に倒産、この「事件」が大きな転機となった。
新たな販路開拓に迫られたほか、従来のOEM(相手先ブランド)供給から自社ブランド中心に経営のカジを切ることになった。96年に鷲見現社長が36歳の若さで社長に就任以来、この路線は不動のものに。「和菓子イコールお年寄り」というイメージを払しょくするため新たに、30〜40代のファミリー層を狙ってブランド展開、どら焼きの味を変えるという思い切った方針を反発する古参社員を押し切って貫いた。
味の変更のポイントは「甘ぬけの良い味」。卵の含有量を多くして、あんの甘さが残らない味だ。試行錯誤の末、鳥取県が保有する氷温技術を活用、これを成功させ、しかもパッケージも明るいものに変えた。こうしてファミリー層に支持されるポップで美味しさと値ごろ感のあるどら焼きが出来上がった。製造面でも勘と経験頼りから製造工程のマニュアル化にも取り組んだ。
鷲見社長は、「もの作り、物売り、開発の3つの要素を機能させ、心に響く和菓子を作りたい」と、社内では大家族主義を掲げ社員の心をつかんでいる。「栗入りどらやき」は、どら焼き年間販売額日本一を達成、百貨店、スーパーの和菓子コーナー「丸京ショップ」は1,000店舗を超えている。市内東山公園を「どらドラパーク米子」と命名するなど文化の発信にも前向き。商品性のポイントをつかみ、市場に打って出る戦略は多くの経営者のヒントになりそうだ。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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