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2009年の記事

 

 

 

(株)丸進

 

独自の高度刺しゅう技術に特化

業種:アパレルの刺しゅう・プリント加工
(株)丸進

群馬県富岡市といえば、日本の近代化を支えた富岡製糸場があったところ。このほかに桐生の織物も有名で、群馬県は繊維業で栄えてきたといっても言い過ぎではない。だが現在は、自動車、電機産業が中心で外国人従業員も抱えており、昔とは何もかも様変わり。繊維業はコスト高を嫌って中国、東南アジアにシフト、関連企業も激減した。ただ繊維業にとってこのように厳しい中で、力強く生き残る中小企業が少なからずあるのは心強い。

2008年の洞爺湖サミット開催前日のこと。ブッシュ前米大統領の誕生日を祝って開かれた非公式晩餐会で、同氏に贈呈したジャンパーには日本でしかできないようなきめ細かな刺しゅうが施されていた。アパレルの刺しゅう・プリント加工の(株)丸進(群馬県みどり市、佐久間茂社長)が手掛けたものである。1960年の創業というからほぼ50年の歴史を持つ。

「もがきながらも一歩一歩前に進んできた。気がついたら仕事のほとんどが高度な技術を要するものだけだった」(佐久間社長)。繊維で生き残ること自体、他社の真似できない高度な技術を保有していることの証である。今はまだ一部で汎用加工をしているものの今後、高度な特殊加工に完全に特化することにしている。

同社の武器は、約60種、計150台に上る特殊ミシンを備えていること。その中には150年前のミシンもある。これを駆使してポケット部分など難度の高い部分への刺しゅうや、しなやかさを保ったままのプリント加工を行う。北米で先行展開している高級カジュアルブランド「IREZUMI」は、有名ブランドショップ「キットソン」で扱われ、近く日本への逆輸入を始める。

2008年に佐久間社長は、中小企業基盤整備機構の支援で中小企業診断士に経営コンサルティングを依頼した。「当社の工場は乾いた雑巾か、それとも水をたっぷり含んだ雑巾か」と尋ねると、答えは後者。コスト削減余地があり、これを「会社は良くなる可能性がある」と前向きにとらえて、さらにやる気が出た。「高度な刺しゅう技術プラス工場のムダ取り」−長い歴史を経てなお色あせない独自のモノ作りシステムは健在だ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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