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(株)満寿屋商店

■「十勝産小麦100%パンに挑む」

業種:パン製造業
(株)満寿屋商店


わが国のパン製造に使っている小麦の99%は外国産小麦。パンの場合、小麦の自給率は約1%と極端に低い。「地元は小麦の大生産地なのに食べているパンは外国産小麦。こんなことでいいのか」と20年ほど前から、地元産小麦や食材にこだわってパン作りをしているのが(株)満寿屋商店(北海道帯広市、杉山雅則社長)だ。

同社は十勝管内に6店舗を持ち、十勝平野の中心部約8000平方メートルの広大な土地に、店舗・工場の拠点を構える。十勝地方は小麦生産量が日本一で国内全体の4分の1を誇る大産地。だが生産される小麦は麺用がほとんどで、大部分が本州などに出荷される。しかも小麦はコメのように粒では食べられず、生産農家も自分の小麦を味わう機会が少ないため「コメなどと違い愛着があまりない」(杉山社長)といわれる。

日本のパン産業は外国産小麦の品質をベースに成り立つ。十勝産小麦を使うということは、パンに適した小麦を作るという栽培面のほか技術、機械、副資材までパン製造工程をすべて見直す必要があり、「地産地消と一口にいっても実はそう簡単なことではない」(同)。こうした長年の困難を乗り越え、平成21年には地元産小麦100%のパンを本社敷地内にある店舗「麦音」で売り出した。

地産地消の呼びかけは地元の共感を呼び、オープンキッチン、小麦畑、カフェスペースなどを本社内に設けた「麦音」は連日、地元のお客でにぎわう。全6店舗の地元産小麦使用率は現在80%ほどだが「年内に全店で100%にしたい」という計画も進む。食育活動にも熱心で軽トラックに移動式石窯を積み幼稚園、小中学校を回り地元の食材で子どもと一緒にピザを作る。

この活動は平成17年から続き、昨年は計85回、5800人の参加者があり延べ参加人数は1万人を超える。杉山社長の地産地消の熱い思いは鹿児島県での大学生活、米国でのパン修行など「外に出て初めて地元の良さを実感した」ところから生まれる。目標はいずれかの店舗で売り上げ日本一を達成することと、十勝産小麦をブランド化すること。36歳の若き社長の情熱に注目したい。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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