株式会社マテリアルハウス
■生活の知恵がビジネスチャンスに
業種:光ダクトシステムの開発、販売
株式会社マテリアルハウス
太陽光や太陽熱、水、風力、地熱など自然エネルギーが発電などに利用されている。これらは脈々と受け継がれた「生活の知恵」から生まれたものも多い。例えば水力発電も水車が原点になっているし、太陽光も自然照明として古くから生活に取り入れられている。この「生活の知恵」をもう一工夫すると、大きなビジネスチャンスに化けることがある。
マテリアルハウス(東京都大田区)が取り組んでいる光ダクトシステムは自然光を生活の中に取り込んでいた先人の知恵から発展している。奥まったビルなど自然光が届きにくい場所に太陽の光を提供することを考えた新井秀雄社長は、取り込み用の鏡で太陽光を反射させることから研究を始めた。反射鏡を使うアイデアも古くからあったと思われる。
自然光を取り入れて照明代わりにすることは人類が雨露をしのぐために屋根を作った時に始まる。窓を開けたり天井に穴を穿ったりした。しかし、奥まった部屋などは光りが届かず、補助的な光源がない限り常に薄暗いままだっただろう。同社では「奥まった部屋に自然光を届けることができれば、エネルギーの節約になり環境にも優しく、心地よい環境が提供できるはず」(新井社長)だと考えたわけだ。
同社は元々伸銅品などを手掛ける加工メーカーだった。アルミなど鏡面になるような素材も扱っていたことから、反射という物理的な法則に取り組みやすかった。ところが、自然の光りが相手だけに、試行錯誤の連続となった。「原理は鏡と同じだが、建造物に直接組み込まれる装置なので、一度取り付けてしまうと交換ができない」(同)などの難題にぶつかった。そのため開発には12年以上を費やしたという。
「太陽は季節によって高度が異なるなどから、安定した照明にはなりえない」(同)と考えられていた。しかも採光を安定化させるためには太陽光追尾システムが不可欠といわれた。これをクリアしたのが、アルミシートで作ったダクトだった。太陽光をダクト内で反射させ自然光を導く方式を考案したのだ。完成した施設についての実証実験なども終わり、公共施設や学校、住宅などのほか、企業の採用も増え始めた。同社では「木漏れ日型光りダクト」なども開発、ようやく開花期を迎えた。環境とエコにも後押しされ同社にビジネスチャンスが到来している。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。
▲ TOP
2010年の記事に戻る