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2012年の記事

 

 

 

(株)松井ニット技研

■「ミュージアム・ニットマフラー」

業種:ニットマフラーの製造
(株)松井ニット技研


近代アートの殿堂「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」。そのミュージアム・ショップ "MoMA STORE"で、5年連続総売り上げナンバー1の実績を持つ日本製のニットマフラーをご存知だろうか。

世界有数の美術館が認めるニットマフラーを制作しているのは、明治40年創業の老舗、(株)松井ニット技研(群馬県桐生市:松井智司社長)である。戦後、先代がラッセル編機を導入し、ニット工場を開業。今も、ラッセル編機の原型といえるオールドスタイルの低速編機を使用している。このスピードの遅い昔の編み機でなければ、ふんわりとやさしい肌触りのリブ編みは完成しないという。

自社ブランド「KNITTING INN」のニットマフラーの人気は、カラフルでポップだが、決して下品にならない大胆かつ絶妙な"マルチカラーストライプ"の配色にある。遠く平安時代の襲(かさね)の色を基本に、古今東西の絵画に学び、毎年、トレンドカラーを押えた新たな配色を社員全員で考えるという。このどこにもまねのできない配色について、松井社長は、「デザインや色彩のプロでない社員が集まって、あれこれ意見を出し合うことが、却って、自由でユニークな配色を可能にしているようです」と話す。

MoMAのデザイナーとバイヤーが、桐生の同社を初めて訪れたのは平成11年。以来、MoMA STOREに置かれた毎シーズンのマフラーは、感性の高い来館者の心を掴み、記録的な実績を誇ることになる。ロンドンの「コートドール美術館」や、ヨーロッパ三大美術館のひとつ「プラド美術館」にも採用されるなど、まさに「ミュージアム・ニットマフラー」と呼ぶにふさわしい。

平成20年度には関東経産局の地域資源活用事業計画の認定を受け、マルチカラーストライプ商品の衣服への展開に挑戦。「世界初の縦縞ニットウェア」となる婦人用ゴルフウェアの試作も完成し、今後は、OEM販売による事業化も進めるという。アート性の極めて高い独自の製品を生み出した桐生の小さなニット工場は、世界有数の美術館の評価を勲章に、これからもオンリーワンのニット商品を世に送り出していく。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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