ナカシマメディカル(株)
■「船舶用技術応用し、人工関節」
業種:人工関節の開発・製造
ナカシマメディカル(株)
船舶用プロペラメーカーとして実績のあるナカシマプロペラ(株)が、同社にとり全くの異分野である医療分野に進出したのは今から25年ほど前。工場を見学した医師から、「チタン合金でプロペラを作れるのなら人工関節もできるのではないか、とアドバイスをいただいたことがきっかけ」。ナカシマメディカル(株)(岡山市)の中島義雄社長はこう回想する。
何しろ製造工程がプロペラも人工関節もよく似ている。鋳造〜3次元曲面設計〜鋳造〜機械加工〜研磨とほとんど同じ工程だ。しかもナカシマプロペラが長年貫いてきた「一品受注生産」の考え方がそのまま人工関節の製造にもぴったり当てはまる。大学時代に流体力学を学んだ中島社長もこうしたプロペラ技術を生かした人工関節製造に次第に、力を注ぐようになる。
最初はナカシマプロペラの一部門としてスタート。第1号製品として人工肘関節を完成し、その後人工膝関節、指関節、足関節と製品陣容が拡大。現在では150種類もの製品について製造の承認を受けている。平成20年にはナカシマプロペラから分社して現在の会社を設立し、ナカシマグループでも一段の発展を期待される有力企業に成長している。
同社の特徴は、医師のアイデアを一品料理的に形にすると同時に、手術で用いる道具も医師個人の専用道具として、人工関節と共にセットで提供していることだ。この点ではものづくりを得意とする同社グループの利点を大いに生かせる。製品づくりについては「自分や家族も安心して使える責任ある製品づくり」を基本に置いている。
特筆すべきなのは、医工などの連携による産学官連携の研究会を平成8年から2カ月に1回、同社で開催している点。日本人に適した人工関節を開発目標にするなど2つの研究会を走らせており、来年で何と100回をそれぞれ数える。また海外でも販路開拓するため、中小機構中国本部の支援で、海外展開のためのF/S事業も進めている。日本人の骨の形状とフィットしやすいアジアを輸出のターゲットにする考え。同社の持つ高度な技術を応用し大手も参入しにくい人工関節分野への地道な挑戦はこれからも続く。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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