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2010年の記事

 

 

 

平野製麺所

■「淡路のそうめんは、こだわりの手作業で」

業種:淡路手延べそうめん製造
平野製麺所

淡路島と言えば、高級食材の鱧(はも)や品質のいい玉葱などが知られる。平野製麺所(兵庫県南あわじ市:平野伸一代表)は、この淡路島の南端の福良域で「手延べ麺」製造を行っている。この地域は、知る人ぞ知る「淡路手延べそうめん」の産地。江戸時代の天保年間に伝わり、漁業者の冬の副業として発展した。現在では十数軒になっているが、最盛期には 約130軒が従事していたという。

平野製麺所の創業は大正2年。平野代表で三代目になる。製造は小麦粉や塩などの原料を「こね」や「ほそめ」という麺を細くする行程などを経て、「引き延ばし」行程へ。10センチから 120センチ程度まで延ばしていく作業であるが、ここが最もこだわりのある部分だ。よりをかけながら、2本の棒に8の字状に巻きかけた麺生地を延ばしていく作業で、片方の棒を手に、もう片方を足に引っかけ、全身を使い、ゆっくりと延ばしていく。

麺は大変デリケートなもの。天候や湿度によって力のかけ方を変えなければならない。それでも、麺の伸び方にムラはなく、まんべんなく伸びるという。まさに職人技だが、平野製麺所ではこの作業を一日 約1,000本を2、3人で行っているという。

熟成とこの「引き延ばし」を繰り返した後、次の「門干し(かどぼし)」という乾燥行程も手作業だ。乾燥具合も見ながら、最後には最大 240センチの長さにまで仕上げていく。実は、手作業は機械と比較すると3倍以上効率が落ちるという。それでも食べたときの強い「こし」となめらかな「のど越し」、また、ゆでのびにも強い麺に仕上げるために、こだわりをもって行っている。

平野製麺所では、そうめんだけでなく、うどんやひやむぎの製造も行っている。また、今年度は「次の展開へのきっかけにしたい」と「地域資源活用事業計画」の認定を受け、生野菜とマッチするように仕上げた「サラダ麺」や「手延べパスタ」も開発した。伝統を守りながら新しいことへ挑戦を続けていく。きめ細かな手作業は今日も行われている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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