(有)モメンタムファクトリー・Orii
■「銅器でオリジナルの発色」
業種:銅器の着色
(有)モメンタムファクトリー・Orii
銅器製造では国内トップのシェアを持ち高度な技術が集積する工芸の町・富山県高岡市。その地で(有)モメンタムファクトリー・Orii(折井宏司社長)が、高岡銅器に新たな息吹を吹き込む事業を意欲的に展開している。同社の前身は、昭和25年創業の折井着色所。以降、同社は高岡銅器の仕上げ部門である着色業一筋に歩んできた。
3代目の折井社長は10年ほど前からある取り組みを始める。「うちの着色技術をほかのものにも応用できないか」と。同社はそれまで手掛けてきた銅像、仏具、美術工芸品以外にも、いろいろな色を発色させて現代の生活に伝統工芸の技を取り入れるための商品開発に乗り出す。
高岡で着色業を手掛けるところは一般に、仏具だけを専門に着色しているところがほとんど。同社の場合は7割方が仏具だが、このほかにも日展の作家の作品やデザイナーのオブジェなども手掛け「作家、デザイナーの気持ちになって色を付ける」経験が豊富だ。だから新分野への挑戦について「自分自身、切り替えができた」。つまり「高岡銅器の仏具はこのやり方だと固執していたわけではなく、いろんな分野へ幅が振れやすかった」と振り返る。
こうして培った「感性」がプラスにはたらき同社長は試行錯誤の末に、従来
の技法をさらに進化させた独自の発色法を見出した。銅など金属素材の腐食・錆という特性を人為的な技法で発生させ独特の風合い、発色を生み出す。これが大きく注目を浴びるのは2年前、ある展示会に独自の発色を施した時計などクラフト製品を出展したことがきっかけ。その時「びっくりするほどの反応があり、そこから一気に流れが変わった」という。
また東京・青山の「Rin」で今年2月に開かれた「高岡ippinセレクト」に出品した際、日本貿易振興機構(JETRO)から声がかかりニューヨーク国際家具見本市に建材、クラフト製品を出品した。これも反響が大きく折井社長は「今後の海外展開にも可能性を見出した」と語る。同2月には中小機構の協力を得て地域資源活用認定企業にも。高岡銅器の着色技術を応用した製品群が海外に雄飛する日も近い。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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