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2006年の記事

 

 

 

 

 

株式会社マイクロエムズ

 

■“耳で話す”技術で通信機器の新機軸を拓く

業種:通信機器開発
株式会社マイクロエムズ

人間の耳の機能は本来“聞く”ことにあるが、ベンチャー企業である株式会社マイクロエムズ(東京都台東区、枡田正次社長)は“耳で話す”技術を開発し、通信機器の用途拡大にインパクトを与えている。この意表をついた新技術は平成16年度の中小企業優秀新技術新製品賞で最高位の中小企業庁長官賞を受賞して一躍脚光を浴びた。反響は大きく、その応用製品が携帯電話に搭載されるなど、あっという間に大化けする可能性を強めてきた。

人が声を出す時、鼓膜も振動して微弱な音声信号を発している。ここに着目した同社は、その微弱振動を薄い振動板で吸収・増幅して相手方に伝え、会話ができる技術を開発した。自分の鼓膜の振動と相手の声をクリアに分離する特殊な振動板によって、マイク(聞く)とスピーカー(話す)の両機能を果たすようにしたのである。無線機用として実用化した製品は自衛隊や警察関係に採用されたが、本命は補聴器や腕時計サイズの小型通信機器及び携帯電話分野だ。その狙い通り、昨年秋には大手電機メーカーが同技術をもとに、イヤホンだけで音声の受信・送信が可能な専用LSIを開発し、これを組み込んだ携帯電話機が本格的に登場しつつある。膨大な市場規模がある携帯電話機への採用で同社の新技術が表舞台に立つことにもなる。

同社は平成10年12月設立のベンチャー企業。メカトロニクス技術を強みに、特に通信機器分野で独創性を強め、「耳で話す」という双方向同時通話技術を経営の柱に育てることに注力してきた。その甲斐あって、新技術の応用分野が広がり、独自のユーザーも開拓できた。数字面でも成果が表れ始め、今年の創業7年目をジャンプ台に売上拡大ピッチを大幅に速める状況にある。

情報通信分野は技術革新の奔流にある。本物の技術で、そのうえ時流に乗れば開花も早い。同社の「創業10周年までに株式上場を具体化したい」という経営目標の達成も、本物技術との評価を得ることと表裏一体のようだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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