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2008年の記事

 

 

 

 

 

森鉄工株式会社

 

先んじて顧客の要望に応える

業種:冷間鍛造の精密打ち抜き加工
森鉄工株式会社


企業経営者は規模の大小を問わず「時代を先取りする」という言葉が好きだ。入社式や年頭の訓辞などで必ず口にする言葉の一つだ。森鉄工株式会社(佐賀県鹿島市)は「先んじて顧客の要望に応える」(森孝一社長)ことを企業理念の一つにしている。「ニーズの先取り」「時代の先取り」をイメージしたものだ。同社に限らず技術開発分野は「時代の先取り」という言葉がよく似合う。

同社は1981年に滑らかな剪断面や3次元形状の複合成形ができるファインブランキング(FB=冷間鍛造の精密打ち抜き加工法)プレスを開発した。今ではこの分野で国内シェアの70%を持っている。このFBプレスも「先取り精神」をいかんなく発揮した製品といえる。ただ、開発にあたって唯我独尊になるのを防ぐため、顧客にアドバイザーとして協力してもらっている。世の中の動向や顧客のことを考えないまま突き進めば「時代の先取り」のはずが、逆に経営の足を引っ張りかねないためだ。

1922年に肥料会社としてスタートした同社は、関連する農業機械を手がけ、戦後間もなく九州の特産でもある釜炒り茶の機械を生産した。そして電機部品の下請け、重電のフレームや一般機械の生産、プレスマシンの生産へと変化した。同社の成長は、時代の「風」を読み、時代を先取りしながら、将来的に期待できる分野を見出してきたことにある。

エレクトロニクスやIT分野には時代を先取りした「次世代」という謳い文句の商品が多い。同社は今「次世代プレスマシン」の開発に取り組んでいる。「戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択されたテーマである。高張力鋼板をプレス打ち抜き加工すると剪断面が粗く、2次加工が必要となるが、打ち抜き圧力を機械的・電気的に調整したり、金型表面にコーティングを施すなど、工法を工夫することで、2次加工が不要なマシンにしようというものだ。

次世代製品開発といっても、さまざまな知恵とアイディアを駆使しなければ、従来の延長線上の製品しかできないだろう。同社が大学や公的研究機関の協力を得て開発を進めるのも、足りない部分を補うため、新しい知恵を導入しようという狙いからだ。この「次世代プレスマシン」が実現すると作業効率の大幅な向上が期待できるだけでなく、他分野への利用も可能になりそうだ。「時代の先取り」は顧客ニーズにマッチすることが不可欠だ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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