モーリス楽器製造(株)
■こだわりのギターづくりで勝ち残りを目指す!
業種:ギター製造
モーリス楽器製造(株)
「良いものを作ればお客様はずっとついてきてくれる。」。ものづくりの極意をさらりと語るのは、わが国では数少ないアコースティック・ギターの専門メーカー、モーリス楽器製造(株)(長野県松本市、従業員数45名)の森平社長。
同社は、森平社長の父が、ギター普及への熱き思いから一念発起、それまで勤務していた有名楽器店を辞めて1967年に設立した穂高楽器製造(株)を前身とする。1972年2月に、社名を現在のモーリス楽器製造(株)に改め、以後、「モーリス」ブランドのアコースティック・ギターの量産を開始した。
折からのフォークソングブームを追い風に、ピーク時には年間33万本のギターを生産し、人気フォークグループ「アリス」の谷村新司、堀内孝雄をはじめ、多くのミュージシャンにモーリスギターは愛用された。
しかし、フォークソングブームが去り、競合メーカーが次々と撤退を余儀なくされる中で、同社は、こだわりのギター作りで懸命に生き残りを図った。より良い音を奏でるギターを製造するため、あえて手間のかかる作業をいとわないことを企業ポリシーとし、音の振動を妨げてはならない部分、強度を必要とする部分の接着に、必ず「ニカワ」を使用したのもその現れだった。化学合成接着剤を使ったギターと比較すると、およそ2倍の振幅が出た。宮大工が使う
アリ溝方式の接合もそうだ。ネックとボディーの接合に釘を使わず、凹凸ではめる。音の振動を妨げない方式だった。
中国などからの低価格品の輸入攻勢も同社の経営基盤を揺るがした。これに同社は低コストの海外委託生産を積極化させることで対抗。しかし、単に低コストを狙うだけでなく、海外生産分を日本に戻し、日本の気候に合うように「シーズニング」という戻し作業を行ったり、「こだわりのものづくり」をすることによって、高品質・高付加価値路線を堅持した。更に、シーズニングのための大型倉庫を国内に建設するなど、設備投資も惜しまなかった。
新規事業にも意欲的だ。静かなブームの「胡弓」の生産にも参入する一方、自社のマイクスタンド技術を生かし、医療用点滴スタンドを商品化するなど、経営の多様化もはかり、小粒でも良い音色を出す企業を目指している。ものづくりにこだわった同社が奏でる今後の「勝ち残り戦略」に注目したい。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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