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2009年の記事

 

 

 

(株)モス山形

 

コケの強い生命力に魅せられて

業種:コケを活用した緑化資材開発
(株)モス山形

国歌・君が代の一節で「こけのーむすーまで」と、コケが永遠の象徴として詠われている。また、コケは、山、渓谷、古刹、神社、日本庭園、盆栽など古くから日本文化と深いつながりを持っている。こうした背景とイメージを持つコケをこれまでは、環境や産業面から実利的に使おうというような発想はそう多くはなかったといえる。

こうした中、「環境の世紀」という順風を受けて、コケを活用した緑化資材の商品化に取り組むベンチャー企業がある。山形市に本拠を置く(株)モス山形(山本正幸社長)がそれ。もともと間伐材を利用してログハウス販売を手掛けていたが、「仕事で森林に入るうちに、コケの強い生命力に魅せられた」のが、緑化資材開発を手掛けるきっかけになったと山本社長は話す。

草木や木をコンクリートといった無機質空間に植栽して緑化するのは困難だが、コケは比較的容易にできる。というのは乾燥しても枯れず、放っておけば一時的に仮死状態になるものの水をやれば再生する。つまり土がなくても生育できるという特徴がある。軽量で施工も容易であり、自然の雨水だけで生育するので維持管理が面倒でなく、低コストで環境にもやさしい緑化システムといえる。

このコケの特色を生かして同社は、従来よりも現場の施工コストを低減できる安価なコケボード緑化資材を開発した。屋上・屋根用コケボードや壁面用コケマットなどがそれで、従来の屋根用パネルの規格より大きなピッチで装着できるため取付金具類が少なくて済むなど色々なメリットを持つ。ただ屋根緑化の市場規模はまだ小さく、山本社長は「国や県の制度面での支援がほしい」と注文する。

材料のコケは山形県の荘内浜で種苗を栽培し、山形市の郊外で育成している。耕作放置農地を活用して栽培しており、「農家が工業製品に携わることで農業活性化にもつながる」(同)との期待もかかる。過疎化で拡大しつつある中山間地域の生き物や自然環境の保全、発展にも寄与し、高齢者でも生産・管理が簡単なことから地域の農家の雇用にも貢献している。同社の足跡は農商工連携のハシリとも言え健闘が期待される。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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