株式会社モス山形
■「コケを有効に活用したい」
業種:コケによる屋根やコンクリート壁面などの緑化システム
株式会社モス山形
間伐材を活用したログハウスの販売会社を経営していた山本正幸氏は、間伐材の伐採のため山へ入るたびにコケを目にし「これを有効に活用する方法はないものか」と思案した。コケは土がなくても生育し乾燥しても死なない。土が不要ということは軽いということ。きっと何かに有効利用できるはずだと思った。今から20年も前の話だ。
この発想が立って、環境緑化に貢献する、コケによる屋根やコンクリート壁面などの緑化システムを手がける(株)モス山形(山形市)を平成3年に誕生させた。ただコケの活用を思いついてから、その栽培方法を確立するまでに約5年かかった。コケは環境面に優れた特性を持つが、種苗生産に2年かかるなど商品ができるまで3年半も費やすという難しさもある。
「商品化まで長くかかるので当然、企業経営の面では難しい面も出てくる」(山本氏)。だが、このハードルを乗り越えてチャレンジする。「今まで緑化ができなかった砂防ダム、擁壁、コンクリート面などの緑化が可能になる」など効果は極めて大きいと考えた。また大都市を緑化し、しかも断熱効果も発揮できるのは「コケが一番簡単な緑化の方法だ」と確信していた。
同社が生産・販売するコケ緑化資材は、高強度発泡スチロールとコケ植物を一体化した「コケボード」(商品名)と保水性のある繊維ボードと組み合わせた「コケマット」(同)がメーンだ。コケ植物も含めOEM(相手先商標による生産・販売)も手掛けるほどに成長した。
コケ緑化システムのパイオニアとして今や、国内シェアは90%以上を維持する。またコケの栽培は中山間地の耕作放棄農地を活用しており、これにより荒れ放題だった里地里山の復活と地元の中高齢者雇用にも力を尽くす。「もっといいものを作りもっとコストダウンしたい。」共感してくれるパートナーを探しながら夢はさらに膨らむ。環境に優しい緑化システムの開発はわが国にとって焦眉の急でもある。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。
▲ TOP
2011年の記事に戻る