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2007年の記事

 

 

 

 

 

中道鉄工(株)

 

■五感が生む新製品のヒント

業種:機械メーカー
中道鉄工(株)


「ものづくりには豊かな五感、感性が大事」とは、中道鉄工(株)(徳島市)の中道武雄社長、ものづくりの極意を聞かれるとこう答える。技術は覚えるだけではだめ、半分は感性による、これはマニュアルでは伝えられないと、技術をいかす感性、感覚の大切さを強調する。

同社の創業は1968年。父親が起こした機械メーカー。法人化した1986年以降、武雄氏が代表取締役として経営に当たってきた。従業員20人の中小企業だが、中道さんの感性経営は全国屈指の評価を得ている。その象徴は部品整列供給装置の開発だ。従来、部品の整列供給は振動によって列を整える振動式だった。ただ、振動は音、騒音を伴う。しかも、部品同士が振動によってぶつかり合い、キズが発生するという難点があった。何とかならないか、中道さんに依頼が舞い込んだ。考え抜いた。ハタと新発想が浮かぶ。「回転」を使って整列できないか。見事、発想の方向は当たり、振動式に変わって、緩やかな回転で整列できる新しい部品整列供給装置の開発・商品化に成功する。騒音も無く、部品の衝突によるキズも無い。供給の速度も上がり、ユーザーから高評価を得た。同装置が、2005年、第一回ものづくり日本大賞の製造・生産プロセス部門において優秀賞を受賞したことで、この開発が、並みの開発でないことを雄弁に証明。翌2006年には、経産省・中小企業庁が選定した「明日の日本を支える元気なモノ作り中小企業300社」の1社にも選ばれるという栄誉も続いた。

とはいえ、中道社長、少しのおごりも感じさせない。淡々としている。「モノを開発するとき、いつもメカから入るというものではないのです、リズム、例えば部品がタ、タ、タとかトン、トンとかリズムするでしょ、そういうリズムの中で開発が生まれてくるんですよ。音楽が大事なんですね」と、五感の大切さを強調する。開発というといかめしくなりがちだが、柔らかな頭、豊かな感性があってこそのようだ。

若い世代の製造業離れがいわれる。中道さん、若い人たちと話をする機会があると、五感を機械に置き換えることの難しさと、それを乗り越えて置き換えられたときのモノ作りの楽しさを優しく説いている。





著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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