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中野BC(株)

■「地域に根ざし、紀州南高梅の魅力引き出す」

業種:酒造、バイオケミカル
中野BC(株)


醤油醸造から酒造そしてバイオケミカルへと出世魚のような変身を遂げている企業が和歌山にある。5・15事件(犬養毅首相暗殺)が起きた昭和7年に発足し、80有余年の社歴を誇る中野BC(和歌山県海南市、中野幸生社長)がその会社。梅、みかん、山椒など、温暖な気候がもたらす自然の恵みをベースに、新事業、新製品を次々と開花させてきて、次代の事業、製品の種まきにも抜かりはない。

昭和7年、薄口醤油の製法を独自に開発した故中野利生氏が中野醤油店を興した。時の移ろいと共に商材は醤油から焼酎や清酒にシフトし、それに伴い、社名は醤油店から中野醸造工場、さらに中野酒造へと変わり、平成14年の3社合併時に今日の中野BCが誕生する。BCとはバイオケミカル・クリエーションの略。名は体を表すで、現在、同社は酒造、うめ果汁およびヘルスケアの各事業を幅広く展開。さらに、観光課を設けて観光事業にも進出しており、社員200人、売上高は数十億円の規模にまで成長発展している。

「特に『梅』を掘り下げていて、梅酒をはじめ、梅果汁や機能性食品の梅エキスなどを品ぞろえしている。地元への貢献といった面からも梅の研究開発にはさらに力を入れていく」。創業者から数えて3代目。中野幸生社長の長男で、経営の陣頭指揮を執る中野幸治副社長は、梅に寄せる熱い思いをそう語る。『紀州南高梅』として名高い和歌山の梅は、古来、薬用としても重用され、奈良時代の書物に梅の効用に関する記述があるという。そうした歴史を踏まえ、同社では梅をヘルスケアに役立てようと、大学などとの共同研究を推進中で、その成果として、梅エキスがインフルエンザの予防に効くとの知見も得ている。

時代や環境の変化に対応して、変身、脱皮を繰り返してきた同社だが、いつの世になっても変わらない不変のテーマもあるという。「地元・和歌山にこだわり続けることと、研究開発型企業として、研究開発重視の姿勢を貫くこと。この二つが不変の対象です」(中野副社長)。そんな同社は『手の届きそうな夢を持ち、技術・研究・開発で世界に通じるニッチトップのモノづくりを目指す』との経営理念を掲げており、理念の具現化に向け海外の市場開拓にも本腰を入れている。

中野副社長は「日本庭園がある酒蔵の弊社に年間3万人の方々が来てくれている。来年は世界遺産に登録された熊野古道のある高野山の開創1200年に当たり、和歌山国体も開かれる。ぜひ、和歌山に来て、和歌山の良さを知っていただきたい」と観光大使の弁も。今月31日には地域産業の活性化に弾みをつける「一日中小企業庁inわかやま〜和歌山から日本、そして世界へ〜」が和歌山市で開催される。さまざまな追い風が吹き、"和歌山が旬"となっていく中、地域に根ざした中野BCがさらにパワーアップしそうだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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