ナノフュエル(株)
■「ナノテク×環境・エネルギー事業が飛躍の時を迎える」
業種:環境エネルギー事業
ナノフュエル(株)
細かくすると新しい物質になるのがナノテクノロジー(ナノテク)の面白さ。そんなナノテクに照準を合わせて、ナノテクを環境エネルギー事業に生かそうと、ナノエマルジョン燃料事業やナノバイオ燃料事業、液体バイオマス発電事業に取り組んでいるのがナノフュエル(川崎市、松村健彦社長)だ。今夏、同社のナノエマルジョン燃料製造装置が「生産性向上設備投資促進税制(先端設備)」の対象設備に認定されたという追い風も吹き、設立9年目の今、飛躍の時を迎えている。
同社は「ナノテクの環境・エネルギー分野への応用」を事業領域として定め、平成18年10月に発足した。言い換えると「ナノテクを燃料に生かす」(松村社長)会社となる。柱の一つ、ナノエマルジョン燃料は、半世紀前からの"枯れた技術・製品"といえるエマルジョン燃料(石油に水を混入した燃料)が抱え続けてきた燃焼効率の悪さ、コスト高といった課題を、水粒子の径をナノサイズに極小化することで解消。燃費削減、大幅コストダウン、さらに有害ガスの低減を実現するもの。実証実験でPM(粒子状物質)が最大80%減少するといった成果も得ている。
「いち早くキャビテーションに着目して、高いナノ化技術を確立した。我々の技術が業界で一番進んでいる」。松村社長は胸を張って技術自慢をする。平成18年設立の同社だが、実は前身となる会社があり、30年ほど前からナノ化技術の研究開発を進めてきた前身会社を継承して発足したという経緯がある。技術自慢の"種"を引き継いだわけで、そうした歴史、実績から、エンジンメーカーや造船の大手どころとの共同開発案件も少なくない。
松村社長は「なかなか決定打がみつからない再生可能エネルギーのなかで、次世代再生可能エネルギー発電の担い手となるのが、我々が手掛けている液体バイオマス発電」とも語っている。液体バイオマス発電とは、植物由来のパーム油を燃料とするディーゼル発電であり、太陽光や風力と比べて稼働率が高い、設備投資の負担が軽い、電力コスト低減につながるなど、数々のメリットが見込める。現在、地元・川崎市や静岡県さらにマレーシアなど国内外で液体バイオマス発電所のプロジェクトが進行中だという。
「この秋口から、いろいろ動き出している」(同)と手応えを感じている同社では、今年度の黒字化を見込み、事業の急拡大をもくろんでいる。「祖父が発明家で、その血が流れている」と言う松村社長のイノベーティブで野心的な挑戦は、いよいよ実を結ぶ時期に差し掛かったようだ。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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