奥野食品(株)
■「レストランを持つ納豆専門店」
業種:納豆製造業
奥野食品(株)
納豆製造は大きく二極化している。大量生産で低価格を目指す場合と高級ブランドを目指す場合。たとえ、高級品は作れたとしても、現実的に、多くのメーカーは量産型に傾いていく傾向がある。一方、老舗店などは、伝統のこだわりがある。双方とも強みと弱みを併せ持っていると言える。
納豆製造業の奥野食品(株)(三重県松阪市:奥野敦哉代表取締役)はその両方を手掛ける異色の会社。納豆といえば甘納豆のイメージしかなかった地域に、東京で納豆屋をしていた親戚から作り方を学んだ。松阪、伊勢、津市を中心に行商から始めその後、三重県内で「東京納豆」というブランド名の納豆が食卓で広く親しまれるようになった。
昭和25年、祖母が、戦死した祖父に代わって家族を支えるために創業。父親が会社化し、今は長男である3代目の奥野敦哉社長が舵を取る。同氏は東京で大学生活を送っている時から、地元でしかできないこだわり納豆を作りたいと思っていた。卒業後、東京のコーヒー店で働きながら方々の納豆関連業者の現場を見て歩いた。
実家に帰って間もなく、三重県の旧宮川村のナチュラルウオーター「森の番人」で仕込み、ワラでパックした「自然水納豆森の番人」を開発。これは当時、小粒の大豆と安価が主流の納豆業界の動きの逆を行く商品。大粒の大豆とワラの包装で値段がやや高い。同社の東京納豆が大衆向けならこれは高級納豆。この両方の路線を行き、納豆に関することには何でも挑戦する「納豆専門店」の原点となった。しかも同社は三重県産など100%国産大豆を創業以来使う。
工場内にレストランを作り松阪モロヘイヤ納豆、伊勢ひじき納豆など三重の地納豆や「これが納豆?!」と思われるような創作納豆のほか、納豆ようかんといった納豆スイーツなどを置く。消費者の反応で納豆の活用方法をさらに探る。製造現場の見学コースや直売所も敷地内に設けた。また国の地域資源活用支援事業の認定を受け、地元の資源を活用した商品開発をさらに進める。これらはすべて「納豆の新しい挑戦」、「納豆に関するすべてをやりたい」(奥野社長)。同社のアグレッシブな取り組みに注目したい。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。
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