根上工業(株)
■「オーダーメードに応える」
業種:化学品メーカー
根上工業(株)
中小企業が国内の大手企業と対等以上に勝負でき、世界にも羽ばたける体質を作るには何と言っても「独創性を備える」ことがキーワードの1つに挙げられる。市場自体は小さくても、ユーザーが本当に必要とする製品・材料であるなら、それに応じた独自の体制を整えて供給することが中小企業にとっての存在価値につながる。こうした信念を貫いて成長を続ける企業がある。
石川県能美市に本拠を置く化学品メーカー、根上工業(株)(石川県能美市、菅野俊司社長)である。昭和47年に染色加工メーカーである小松精練(同市)と化学薬品メーカーの新中村化学工業(和歌山市)との共同出資で設立された。当初は雨傘、防寒衣などに防水・防風加工を施すためのアクリル酸エステル系樹脂コーティング剤を製造販売していた。
今では重合という技術を使い、メタルクリル酸エステル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ウレタン系ポリマーを製造。重合とは、石油などの原料を化学反応させることで、ポリマーという特殊樹脂を作る技術で、同社は5つの重合法の組み合わせで付加価値の高い機能性ポリマーの開発を進める。この方法を進化させ数ミクロン単位の微粒子ポリマーの製造を可能とし電子材料向けの需要が拡大中だ。
ポリウレタン系の弾性微粒子ポリマーは化粧品向けとして世界のシェアを独占している。同社の製品は最終製品の主原料になることが少ない。中間原材料や機能を付与するための添加剤的な用途が多い。メーカーから求められる注文に対し、オーダーメードの製品を作ることができるのが同社の大きな強みだ。
大企業との競争が激しい化学業界にあって、同社はニッチな市場を狙った。年間に製造するポリマーは約800種類、うち新製品が50〜60種類もある。中には年間10キログラムしか需要のない製品もある。また同社の約3分の1を占める研究者は営業マンと同行してニーズを直接拾う。「最終製品のごく一部にしか使われなくとも必要不可欠のものなら応えていく」と菅野社長。同社の競争力の源泉はここにある。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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