日本機材(株)
■「原点回帰してチャレンジ」
業種:ガラス繊維強化プラスチック製造
日本機材(株)
明治29年(1896年)創業の麻問屋春日商店を前身とする日本機材(株)(長野市、春日秀之社長)が設立されたのは昭和19年(1944年)。長年培った経営資源を生かしながら戦後は事業領域を大きく拡大、自動車部品のクラッチフェーシングを主力とするガラス繊維強化プラスチック(GFRP)では国内リーディングカンパニーに成長している。
老舗企業は往々にして、成長が止まってしまうケースもあるが、同社はこれとは全く無縁である。延々と継承されているDNAのようなものがあるからだろうか。そのヒントになるような出来事が戦後間もなくあった。戦後、物資が乏しい中で同社は、くず麻と価値のない絹を使ったパッキングを上田蚕糸専門学校(現信州大学繊維学部)と共同開発したのだ。
今でこそ産学連携は珍しくないが当時はまさにそのハシリ。戦後事業領域を拡大し、繊維強化プラスチック(FRP)分野を中心に順調に業績を伸ばしたのも、こうした産学連携をきっかけとする研究開発型企業としてのDNAが受け継がれてきたためだ。ただ平成20年秋のリーマン・ショックで大幅に受注が落ち込みピンチを迎えたことがあった。
春日秀之社長はそこで下請け体質から脱却し、営業力・マーケティング力を強化することに加え、研究開発型企業としての原点に返ることが必要と判断した。このため翌年10月には研究開発拠点「素材開発センター」(長野市)を開設、軽量で剛性に優れている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)といった高付加価値製品の研究開発に力を入れることにした。
同時に「製造業といえどもサービス産業」との信念で、ニーズに合った営業を行うため東京都内に事務所を設置し、将来は本社機能の一部を移管する構想を持つ。さらにマーケット戦略の一環として自社ブランドの「Nikki
Fron(ニッキフロン)」を立ち上げるなど積極攻勢が目立ってきた。自社の原点に返り、しかも顧客ニーズに機敏に対応する歴史ある企業の挑戦者魂が伝わってくる。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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