西精工(株)
■「社員教育の目標は「人間性の向上」」
業種:ナット等のネジ製造
西精工(株)
製品を支えるのは人、ということは昔から言われていることだが、中小企業が実際に人をどう育てるかは千差万別。最も一般的なのは仕事を通じた教育であるOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)だろう。ただ中小企業の場合、多くは日々の仕事に追われ、なかなか社員教育まで手が回らないのが実情だ。
そんな中、社員教育を前面に掲げ、これを会社の力の源としている中小企業が徳島にある。創業が1923年(大正12年)という県内でも有数の老舗企業、西精工(株)(徳島市、西泰宏社長)だ。自動車や家電メーカー向けに精密ネジやファスナーなどを製造するほか、ミニチュアベアリングの旋削加工も手掛ける。エンジン、ドアなど500種類を超すネジを生産。自動車向けのナットが売り上げの約8割を占める。
「社員に求めるのは自主性。自ら考え行動する意識を啓発するのが自分の務め」(同)と語る。そこで5年前に始めたのが「企業内大学」。教育のテーマは人間性を高めること。「これが製品の質を高めるのにつながる」(同)との狙い。現在、始業前や就業後の時間を活用し、品質管理、自己啓発などを「毎日どこかで必ず開いている」(同)というから驚きだ。
同社の本社を訪ねると「いらっしゃいませ!」と元気な声が響き渡る。しかも内勤業務の社員が一斉に立ち上がって挨拶する。これは会社として強制しているわけではなく会社を訪ねてきた人を温かく出迎えようと自主的に行っているものだ。アポイントがある来客には手製の「歓迎ボード」を作っている。これも若手社員の発案だ。
同社長は「モノづくりひと筋。身の丈に合った経営を心掛けてきた」という。5代目社長である同氏は社風について「大家族主義を掲げている」とし、モノづくりに励む中で社員全員の心に共通して通うものが生まれている。さらに「徳島を拠点にモノづくりを極めよう」との合言葉で全国各地に営業所を置かず、担当者は全員、徳島の本社から動く。「モノづくりイコール人」を徹底して極めようとする企業に、未来が拓けないはずはない。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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