西島株式会社
■定年制を採らず高齢者の技能を活用
業種:自動車関連の専用工作機の製造
西島株式会社
2007年、団塊の世代が60歳の定年を迎え始める。今後労働力人口が減少していくなか、高齢者の活用を進めたいと考える中小企業は少なくないだろう。愛知県豊橋市の西島株式会社(西島篤師社長)は、「一生元気、一生現役」という理念の下、積極的に高齢者を活用している企業である。
西島株式会社は、主に自動車関連の専用工作機を製造している。1923年の創業以来同社には定年制がなく、健康で会社に貢献できる技能がある限り、何歳になっても働くことができる。現在従業員は約
150人だが、このうち、60歳以上が22人、70歳以上が7人である。彼らは、マシニングセンターの台座の加工や主軸のベアリングの調整など、工作機の精度を左右する重要な工程を担っている。同社の技術を支えているのは高齢者なのである。
西島篤師氏が代表者に就任したのは1995年。当時、バブル経済の崩壊によって自動車業界の設備投資が急減した結果同社の業績は悪化した。このとき、西島社長が活路を見出したのは、下葉の除去、茎の裁断、重量の測定、箱づめといった菊の出荷作業を自働化する機械の開発である。菊の産地として知られる愛知県渥美半島の生産農家が高齢化していることに着目して始めたものだ。本業と全く異なる分野だったため技術的な課題は多かったものの、刃物や切削に関する熟練工のノウハウを活用することで、当初1年は掛かると予想していた開発を半年で完了させるできた。この開発の成功は、西島社長が高齢者活用の重要性を再認識するきっかけになったという。
高齢者を活用するために、同社はさまざまな工夫を行っている。現場で働き続けてもらい、自らの技能を維持、向上できるようにするというのはその一例である。一定の年齢に達した技能工を「技術顧問」として処遇し、後進の指導に専念させる企業は少なくない。しかし、現場を離れ自ら加工することをやめてしまうと、培ってきた技能が衰えたり陳腐化したりしてしまい、結局、働き場がなくなってしまうということになりかねないからである。このほか、野菜を多く入れた、塩分控えめの食事を社員食堂で提供したり、コミュニケーションを密にしたりするといったきめ細かな配慮も欠かさない。
「60歳定年が初めて導入されたのは19世紀のプロイセン。
100年以上も前の慣行に縛られるのは無意味」と西島社長は語る。柔軟な発想やきめ細かな取り組みで高齢者の能力を上手に引き出している西島株式会社に学ぶところは多い。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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