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2008年の記事

 

 

 

西尾精密株式会社

 

何にも換え難いモノ作りの楽しさ

業種:冷間圧造による精密加工
西尾精密株式会社

製造業に携わる人達は全てといっていいほど「モノ作りは楽しい」と口を揃える。経験とアイデアをベースに様々な工夫を加え、世の中に役立つ製品を作り上げることが出来るためだ。とくに中小企業に籍を置くと、素材選びから加工、仕上げ、検査まで自らの手で行わなければならないケースが多いだけに、喜びも一層深いものになる。 西尾精密株式会社(浜松市)の西尾眞一社長もモノ作りを楽しむ一人だ。

モノ作りの楽しさを子供の頃から教えていこうという取り組みが各地で行われている。子供のうちにモノ作りの楽しさが分からないと、大人になっても楽しめないためだ。自治体や商工会議所、企業などが企画したモノ作り教室は、目を輝かした子供でいっぱいになる。頭を使い、手を動かし、一つのものを作り上げていく楽しみと、完成した時の喜びが味わえるためだろう。

「課題や難問に楽しみながら取り組むことで解決の糸口が見えてくる」というのが西尾社長のモノ作りの原点である。西尾精密は自社の金型を用い、切削加工をせずに複雑な形状に仕上げることが可能な「冷間圧造技術」を持っている。この製造技術も楽しみながら開発したといっても過言でない。この冷間圧造技術は素材を金型に入れ必要な形状に、しかも高精度に仕上げる手法だ。各工程で絞り加工や穴開け加工などを駆使することになる。この結果、切削加工に比べ材料ロスを大幅に削減できるなどのメリットがある。

同社には「他社ではできないような難加工案件が次々に持ち込まれてくる」(西尾社長)。モノ作り企業にとって、頼りにされるのは最大の喜びだ。無論、開発の途中では悩み苦しむこともしばしばだが、これも「産みの苦しみ」であり、完成した時の喜びは「何にもかえ難い」。モノ作りの楽しさを味わえる瞬間である。

西尾社長はこうした楽しみを若い人達に伝えることで産業発展に貢献したいと考えている。この理想を実現するため、私財を投じて「ものづくり学校」を立ち上げている。NPO法人を設立するとともに、良い環境で教えるため浜松市の郊外にある民家を買い取り、冷間圧造技術や金型製造技術、さらには中小企業の後継者に製造の管理手法なども伝えていくことにしている。若い技術者や経営者が「モノ作りの楽しさを学び、将来の夢を語り合えるようにしたい」と西尾社長の夢は膨らんでいく。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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