(株)ニッセイテクニカ
■ヘッドハンティングで要所を固めた研究開発型企業!
業種:マイクロカプセル(微小球状粒子)
(株)ニッセイテクニカ
「創業者は発想豊かな人。その周りにキャリアを積んだ技術や財務の専門家が集まり、新製品開発のスピードをあげ、経営を安定軌道に乗せた」と、研究開発型企業への歩みを語るのは、(株)ニッセイテクニカ(富山県上市町、従業員数35人)の二代目、兼子社長。
同社は、粒径0.1〜10ミクロンというマイクロカプセル(微小球状粒子)の特性を生かした技術が柱の企業。その代表的製品がネジやナット類の「緩み止め剤」である。ネジを締めると、ネジの胴体に塗布された緩み止め剤に含まれたマイクロカプセルが破れ、中から接着剤がにじみ出てネジを緩みにくくするという特殊技術である。振動の激しいエンジンルームやメーター類の他、パソコン、携帯電話、カメラなどにも使用されている。工業製品にとって、一本のネジの緩みは命取りにもなりかねない。たかが緩み止め剤とは言えない重要な技術である。
会社設立(1988年)当初は、この技術の生命線でもあるマイクロカプセルの「原液」を大手企業からの供給に頼っていたが、安定供給確保の観点から自社技術の開発に着手。失敗を繰り返しながらも数年の歳月を費やし、ようやく自社による技術を確立した。以降、ネジ分野の他、木質建材の接合部分の強度を高める接着剤、貼った後に徐々に薬が染み出る貼付薬、液晶ディスプレー
のガラス板の接着剤など、住宅、医療、電子といった分野を次々と開拓し、新たなユーザーを獲得し続けている。
こうした流れを形作ってきたのが創業者でもある先代社長であった。アイデアを具体化するために、研究開発部門には大手企業でマイクロカプセル関係の仕事をしていた研究者、機械部門には機械工学の専門家(現在の兼子社長)、総務・財務部門には銀行マンと、それぞれの分野でキャリアを積んだ専門家を同社の要所に次々とへッドハンティング。この“3本の矢”が先代社長の周りをガッチリ固めた結果、比較的短期間に研究開発型の企業を実現出来たという。
今年は会社設立15周年の節目。専門家の適材配置の特徴を生かしつつ、今度は二代目の兼子社長を軸に「技術領域を広げ、全く新しいユーザーを開拓していく」という。果たして、今度はどんな“矢”が放たれるのか。同社の第2ラウンドの事業展開が楽しみである。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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