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2008年の記事

 

 

 

NKE

 

効率化要求に設計思想「BBS」で応える

業種:精密機械製造
NKE

モノづくり産業における永遠の課題は「効率化」。その推進策の一つが生産システムの自動化である。これを中小企業が自分で考えて、自らの現場で使うには限界がある。一方、自動化システムを提供する側の中小企業の立場に立って考えてみると、例えば大掛かりなシステム開発を手掛ければ、リスクが大きくなるばかりだ。このため、中小企業としてのしっかりしたコンセプトを持ち、経験を次に生かしてより良いシステムを提供できる手法が求められてくる。

精密機械製造のNKE(京都府長岡京市)の創業者、中村圭二会長が1968年の創業間もない頃、たどり着いたのは「ブロック・ビルディング・システム(BBS)」。同社が手掛ける自動化システムなどを構築する際に、構成機器を標準化してユニット化、これを組み合わせる手法だ。顧客に提供した自動化システムの中から標準化できる部分を取り出して製品化、次に開発した製品も同様に活用し、より高度なシステムへと進化させていく。

この設計思想は多くの製品を生み出す原動力となった。機械分野で当たり前のように使われているエアチャック、生産設備を制御する配線数を減らせる省配線システム、部品搬送用コンベヤーシステムなど、業界に先駆けて世に送り出した。これにより経営リスクを回避し、自社の資源を融合させて最適ソリューションを提供するという、まさに「成長の源泉」(中村道一社長)となった。

現在の目標は、「人中心で発展し、独創的な開発を行う世界企業を目指す」こと。そのため自動化装置の機器部と省配線システムの電子部を統合、また開発陣を、既存の資源を改良して市場ニーズに素早く対応する技術グループと、中長期の戦略製品を目指す開発グループに再編した。その結果、「モジュールコンベアシステム」という機械と電子の新たな融合搬送システムを生み出した。 このシステムは、直線や曲線のコンベヤーを組み合わせて自在にレイアウトできるものだ。

今後、ハンドリング、搬送、セル生産支援、省配線、ネットワークの重点5分野で新システム開発を狙う。中村社長は「ものづくりの環境がどんなに変わろうと、製造業がある限り効率化要求はなくならない。BBS思想は今後も不変」とし、自社の路線に自信を深める。中小企業ではヒト、モノという社内資源をどうやって融合、進化させていこうとするのか、その最適な経営手法を見つけ出す必要がある。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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