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2008年の記事

 

 

 

 

 

日本プレシジョンキャスチング株式会社

 

技術力と信頼性で大企業との取引に道

業種:ロストワックス法による精密鋳造品製造
日本プレシジョンキャスチング株式会社


大企業と取引を目指す中小企業は数多い。大企業との取引は、当然のこととして高い技術力と品質、徹底したコストダウンなどが要求される。一方で、ビジネス社会において確かな信頼が得られ、新たな事業展開への道が開けることになる。日本プレシジョンキャスチング株式会社は米国のボーイング社に認めれた中小企業の一つである。

同社は鋳造磁石の製造を手始めに、ロストワックス法による精密鋳造品を事業化、さらにアルミニウム合金の鋳造を開始した。「鋳物は複雑な形状加工が簡単に出来るが、機械加工の製品に比べ強度が落ちる」といわれてきた。その中で「鋳物が持つ壊れやすいイメージを払拭したい」(瀬戸山惠社長)との思いから、強度にこだわるようになった。同社がターゲットとしている航空機の部品としても強度の不足は致命的である。

瀬戸山社長以下全社員をあげて「強靱で信頼度の高い精密鋳物を作る」ことに没頭した。長期にわたり集めたデーターを分析、試行錯誤を繰り返した結果、鋳型に金属を流し込む時、場所により温度を変えたり、薬剤を入れたりすることで、流し込んだ金属の固まる時間をコントロールすることに成功した。この時間コントロールにより引っ張り強度を1.5倍にまで高めたのである。世界でも数社しかこなせないというほど難しいものだといわれる。

この技術力と信頼性が高く評価され、ボーイング社の787型旅客機のコックピットブレーキペダルに採用された。すでに、ボーイング社からはアルミ合金、鉄合金について工程認定を取得している。ただ、これで満足しているわけではない。開発にあたって引っ張り強度が従来の2倍、弾力性で3倍以上という目標を設定し、その実現を目指している。同業者にでさえ「考えられない挑戦」といわれているほどだ。鋳物の理想値を追いかけていることになる。

同社は今、内外の航空機メーカーを主要取引先にしている。航空宇宙産業標準化のため、特殊工程管理に関する審査・認証システム「Nedcap」が決められた。このNedcapを取得しないと取引に差し障るため、同社も熱処理工程や非破壊検査工程、溶接工程部門でいち早くNedcapを取得した。この規格は欧米の航空機機体メーカーとエンジンメーカーが採用したため世界に広がりつつある。ビッグネームのとの取引は技術に対する飽くなき探求心と、技術を基にした高品質の確保、そして何が起きても素早い対応ができる体制が必要といえそうだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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