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大川精螺工業(株)

■「一つの決断から、大きな飛躍へ」

業種:自動車のブレーキホース口金具製造等
大川精螺工業(株)


中小ものづくり企業の中には技術力が高くても時代の流れに機敏に対応できず、せっかく蓄積した技術が生かせないケースがある。こうした中、成長が続くアジアの自動車産業の需要に対応するため、いち早く海外拠点を設置するとともに、蓄積した技術を応用して節電ニーズに対応する自社ブランド製品を立ち上げて気を吐く会社がある。

今年で創業78年を迎える大川精螺工業(株)(東京都品川区、大川克良社長)。冷間鍛造技術を用いて、自動車のブレーキホース口金具を主力とする老舗企業で、同製品の「国内シェアは約4割を占める」。国内のものづくりの空洞化が叫ばれ、価格に対する要求が厳しさを増す中、平成元年に100%出資子会社のタイ大川を設立、現地生産を始めた。

アジアの旺盛な需要を受け、第一工場だけでは手狭になりこのほど、第二工場を建設、自動車部品の生産能力を大幅に引き上げた。同社のマネジメント能力が発揮されたのは、現地生産を始めた当時、現地で水害が発生したことを受けて、平成21年に高台にある工業団地に現在の第一工場を建設したことだ。

この時の決断が功を奏し「昨年の大洪水の影響は軽微だった」。現在では日系メーカーの現地調達の需要に応えるとともに、現地資本メーカー向けの販売も強化している。一方では、昨年6月、蓄積した技術を生かして発光ダイオード(LED)街灯を「大川ブランド」製品第一号として発売した。

それまでOEM(相手先ブランド)供給してきた製品で、自動車部品と並ぶ売り上げの柱に育てる考え。この戦略のきっかけとなったのが東日本大震災。同社水戸工場で「周囲が真っ暗な中、LED街灯のデモ機が唯一光っているのを見て、人に安心感を与えた」。17ワットのLED照明を搭載し、出力125ワットのソーラーパネルで、日中3.3時間充電すれば二日間点灯できる。部品と自社製品の両面作戦で、元気な経営に弾みがついている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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