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2010年の記事

 

 

 

(株)オクダソカベ

■「日本の産業や生活を陰で支える」

業種:ベローズ形伸縮継手の製造業
(株)オクダソカベ

配管の接続部分に使用し、地震・風などの揺れや温度変化による配管の伸縮を吸収する継手をベローズという。金属製で巨大なバネのようなイメージで、柔構造を演出する製品だ。このベローズの製造で国内トップで約40%のシェアを誇るのが(株)オクダソカベ(大阪府東大阪市:奥田保幸代表取締役)だ。大正14年(1925年)の創業。当時は海軍省が輸入していたボイラーの管を掃除する機械を製造していた。

やがて、この技術を活かしてフレキシブル応用機器を製造した。これは、配管やスプリンクラーの接続部分、電気スタンドの首の部分などに使用されている曲げることができる金属の管だ。戦後の高度成長に伴って、数多く生産・出荷していった。しかし、昭和40年代に入り、大手企業が参入し、数をいかにこなせるか、あるいは価格の競争になった。

「このままでは生き残れない」と危機感を感じ、大型の継手であるベローズに転換した。社内には反対の声も小さくなかったが、「やるしかない」という想いだった。中を通る物の性質、その温度や圧力、配管は土の中か、橋の上か、地上高所か、あらゆる条件一つ一つに合わせて設計していく。同じ物は二つと無い。厳しい検査をクリアして、今では原子力発電所、火力発電所、製鉄所、製油所などにも納入している。

放射能を含む冷却水や高温高圧のガスがベローズの中を通過するが、ベローズが原因で起こった事故は1件も起きていない。平成7年1月の阪神・淡路大震災。ベローズが多く水道管に使われていたが、そこからの漏れは一切なかった。今までに製造した最大のベローズは原子力発電所向けで、実に直径27m。金属製ベローズなら世界一の大きさという。明石海峡を通る水道管や那覇港沈埋トンネル内部にも柔構造のベローズが採用された。

製造には高い技術が求められる。高い圧力に耐えるには強度が必要だが、厚くすると振動を吸収できなくなる。厚みにもムラが出ないようにし、溶接も一カ所に集中しないような工夫がされてある。金属素材によって持っている反発力も異なり、綿密な計算も必要だ。約170人の社員のうち、1/3は技術部門で研究開発などを行っているという。ほんの少しの漏れが大惨事につながっていく極めて重要な製品。(株)オクダソカベはしっかりと日本の未来を支えている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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