音羽電機工業(株)
■「雷対策は被害に遭う前に」
業種:避雷機器開発、製造
音羽電機工業(株)
人の生活や社会のいたる所がネットワーク化され、いつでもどこでもコンピューターを利用できるユビキタス社会。利便性が格段に高まった半面、いったん障害が起きると影響は大きく波及する。身近なところでは雷による被害が挙げられる。さまざまなネットワークにつながった機器の普及で雷の侵入経路が以前に比べ大幅に増えているためだ。
こうした背景から注目を浴びているのが音羽電機工業(株)(兵庫県尼崎市、吉田修社長)。避雷器など雷対策機器一筋に独自の地歩を築き、国内外の信頼は厚い。避雷器のほか雷保護のコンサルティング、電気工事一式やデバイス製品の開発・製造なども手掛ける。また避雷器の核となる高品質セラミックを開発し、避雷器用セラミック素子を世界10か国以上で販売する。
現在ある機器のほとんどが雷対策のターゲットとなり、市場は無限と言ってもいい。しかし1社で対応できない部分も多くあり、吉田社長は「一緒にチームを組み市場をつくっていきたい」と考えている。しかも海外製品との低価格競争も激しさを増すばかり。ニッチな市場のトップ企業ではあるが、ものづくりの共同開発やお互いの販売網の有効活用といった、連携プレーによる相乗効果により、力を増したいと願っている。
避雷器用セラミック素子については新分野への応用も期待できる。「LED(発光ダイオード)や超電導材向けに応用できる」と考えており、若手技術者中心に雷対策の枠を超えた新分野の開発に入っている。このため20歳代後半から30歳代にかけての若手社員を、国際的に通用する人材に育てる研修を1期2年かけて行い、今年度で2期生の研修を終える予定だ。
雷対策は被害に遭ってから対応するケースが多い。このため同社は雷と雷保護技術セミナーを毎年、全国各地で開き雷対策の重要性を説いている。尼崎市の雷テクノロジーセンターでは世界最大級の雷直撃電流試験装置などを見学できる。新市場開拓では太陽光発電やスマートグリッドなどにもチャレンジする。中小企業も雷対策は不可欠だが、同社の歩む経営からも学ぶ点が多いに違いない。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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