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2007年の記事

 

 

 

 

 

大塚精工株式会社

 

■職人技を先端産業に活かす

業種:超精密加工
大塚精工株式会社


九州がシリコンアイランドと呼ばれ始めて30年近くになる。その黎明期に会社を興して半導体関連分野に進出した地元の大塚精工株式会社(福岡県志免町、大塚博社長)は、専門性を磨いて超精密加工で名を挙げ、「先端技術と職人技が融合したベンチャー」の企業像を確立した。昨年は経済産業省の「元気なモノ作り中小企業300社」にも選ばれ、いまではシリコンアイランドで異彩を放つ実力企業に成長した。

同社の主力製品は、磁気ヘッド製造用の治具。ハードディスク駆動装置(HDD)に使われる磁気ヘッドの製造工程で加工品などを固定する重要部品だ。その精度は加工品の完成度や不良品率を左右するので、ミクロン単位の高い精度が要求されるが、同社は寸法誤差0.5ミクロンを実現した。従来、1ミクロンが限界といわれていた治具の寸法誤差を0.5ミクロンまで縮小する技術は世界トップレベルである。磁気ヘッド用スチール製治具では国内80%のシェアを占める。その技術力はさらに独創性を強め、20年程前に加工が難しいとされたセラミックス製治具も商品化した。耐摩耗性に優れたセラミックス製の需要は根強く、この分野の製品開発でも業界の先頭に立つ。

1982年の創業当初は半導体不況に遭遇して苦境に立たされた。その折に持ち込まれた製造用治具製作の話が活路を拓くきっかけとなった。技術向上に挑戦し、発注先が求める以上の高精度の製品をつくって高い評価を得、これを転機にIC関連の治具メーカーとして走り始めた。先端産業の競争は激しい。その中で同社が優位に立ったのはミクロン単位の超精密加工技術にある。独創技術を確立すると、ユーザーは広がり、事業活動も力強くなる。98年以降は新本社工場建設や金型メーカーの子会社化、関東市場への進出など積極経営に転じ、事業展開は新たな拡大期に入った。

今後は、治具に加えて、セラミックス精密加工、自動機・金型を経営の3本柱に育て、液晶や自動車分野にも市場を広げるとの勢い。「職人技というローテクが当社の原動力」(大塚社長)だそうだが、技術の融合を進化させて、超精密加工のオールマイティー企業を目指している。苦境からスタートした企業が身に付けた技術は、ローテクを活かした本物の先端技術だ。




著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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