株式会社ピオテック
■ビジネスヒントは“街の美観”
業種:特殊塗料製造
株式会社ピオテック
コロンブスの卵だ。なるほど、そうだ、というニュービジネスの種は身の回りに何気なくあるものだ。街を歩いていて、あるいは街外れの壁や建物、道路のガードをはじめさまざまな公共物にぶつかって、美観をまるで損なう書きなぐった落書き、それもひとかけらの美的センスも感じさせない不快色に出会うことが少なくない。気分がはなはだしく害される。株式会社ピオテック(福岡市、永松徳文社長)はこの“街の迷惑“に着眼してビジネスを起こした。
前身は「西日本化工」。ここで張り紙や落書きにへきえきしている街の商店や住民の悩みを解決する製品「Pio(ピオ)」の開発に入る。「どこにも無いならやってみよう」と一念発起したのだ。5年ほどかけ、試行錯誤を重ねながら、一歩一歩、製品開発を実現していった。商品がいくつかそろったところで、ピオテックとして社名変更、平成18年(2006年)7月1日スタートした。
シリーズ商品は、簡単に迷惑な張り紙を簡単にはがせる一方、落書きも落とせる特殊塗料から成る商品群だ。安全性を重視して主成分に固形油脂を使っている。撥水性も高い。作業性は良い。あらかじめゴミなどの付着物を取り除いて、下地にローラーなどで塗布する。2回ほど繰り返す。速乾性を持ち、作業スピードは速い。下地のコンクリートはもちろん、塗装された面、金属に対応できる。張り紙をしようとしてものりが付着せず、ラッカースプレーなどによる落書きも定着しない工夫が織り込まれている。このあたりは同社のホームページを見ると動画入りで一目瞭然だ。一度の作業で3−5年の効果ありと同社ではうたっている。電力会社を始め、自治体などにも需要を広げている。自治体では「街の美観を良くし、犯罪防止にも効果がある」と評価する。
「街を自分たちで良くしよう、街を変えていこう、とする人たちが増えてきてうれしい」。永松社長は、美観ビジネスへの足がかりができたことへの喜びを表す。福岡での試みが全国へ広がろうとしている。もちろん同社では、Pioシリーズ開発・製造で確立した、固形油脂をベースとした技術の他分野への展開にも力を入れている。コンクリート構造物の劣化防止対策への応用がひとつ。食品工場の防カビ対策への活用も狙っている。街の景観を良くしようと生まれたニュービジネス、多様な広がりを生もうとしている。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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