レヂテックス
■技術力と環境重視で天然ゴム製品開発を推進
業種:ラテックス製品の製造販売
レヂテックス
わが国のモノ作り企業はひと昔前、コストメリットを狙い我も我もと海外進出し、これが国内の空洞化現象を呼んだ。しかしそのメリットにも限界が生じUターンしてきて国内製造を再び始めるというケースが随分話題を集めた。これはビジネスの本質はコストのみにあるのではない、ということを教えてくれた貴重な経験である。では、コストとともに経営者が考えなければならないのは、どんなことなのだろうか。
これを教えてくれる企業の一つが、天然ゴムを主原料とするラテックス製品の製造販売を手掛けるレヂテックス(神奈川県厚木市)である。もともと同社は、前身となる企業がバブル期に「本業以外で行き詰まった」(菅井敬社長)ために、その有志によって今から17年前に設立された会社。旧社が主力としていたラテックス製品事業を継承した。こんな経緯があるため「手堅い経営を心掛けた」(同)という言葉に菅井社長の実感がこもる。
ラテックス製品の国内需要は、ゴムメーカー、靴メーカーなどが海外生産を進めたことから空洞化が進み、これらのメーカーを顧客に持つ同社は苦境に立たされた。こうした状況の中で、同社は「技術力を生かした環境対応製品の開発に経営資源を集中する」(同)という道を突き進んだ。全従業員の3人に1人、計8人が技術系という持ち味を生かして、「環境に優しい製品開発」にこだわった。
ラテックス製品は、防腐剤としてのアンモニアによる刺激臭や使用状況によっては人体有害物に指定されるような化学物質が混入されている。有害性があるといわれる物質の使用を減らすのが同社の永遠の課題だ。2年ほど前にはアンモニア混入量を抑えたラテックスを開発、建材向け接着剤など身近な日常生活での適用分野も広がりつつある。ダイレクトメールなど向けにセンターを貼り合わせるタイプの「開くはがき」向けの需要や建築分野などの地表に撒く「粉塵防止剤」としての利用も増えている。
「技術力」と「環境重視」―この2つのキーワードが、コスト競争に勝ち抜くことにも増して同社が創業以来最上位に置く経営コンセプト。自然素材である天然ゴムの環境親和性を生かして技術力を発揮し、安全に製品を提供していくことこそ同社の生存領域だ。バブル期に本業以外の分野で行き詰まった教訓を踏まえ、今後も本業に徹した堅実路線に変更はない。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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