リバテープ製薬株式会社
■伝統プラス全員参加
業種:救急用絆創膏製造
リバテープ製薬株式会社
ヒット商品を次々に生む。これは企業の永遠の夢だが、現実はひとつのヒットさえむづかしいものだ。今回登場のリバテープ製薬株式会社(熊本県鹿本郡植木町、杉山宏治社長)、救急用絆創膏という大ヒット商品を生んだ伝統の医療品・健康関連品メーカーだ。だが伝統というもの、強みではあるが、後に続くものにとって重いものでもある。その重さをはねのけて、いまや、全員参加型の経営で、懸命に新しいヒット商品作りに取り組んでいる。
同社、設立は1960年(昭和35年)だが、創業ははるか1877年(明治10年)まで遡る。時は西南戦争の真っ只中。有名な田原坂の激戦。官軍・薩軍入り乱れ、負傷者が民家に担ぎこまれ、手当てを受けた。この中に地元の旧家、星子家があり、傷ついた薩軍の軍医、有馬某が運び込まれ、死を前に、星子亀次郎に「傷ついた兵士に役立てて」と薩軍秘伝の膏薬(こうやく)調合法を伝授した。「材料は松ヤニやごま油などだった」(杉山社長)という。亀次郎はこれを契機に膏薬「ほねつぎ膏」の製造販売をはじめ、やがて、星子義法による大ヒット商品、救急用絆創膏「リバテープ」の開発へとつながってい
った。
しかし、さしもの大ヒットも時代環境の変化のなかで位置付けが変わっていく。絆創膏の大需要層だった子供市場が少子化の中で縮小せざるをえなくなった。経営の転機である。まず、病院向けの開拓。次に少子化の半面、高齢化が進む。健康志向も強まる。新商品の開発が求められてきた。星子家のオーナー経営から自立していくのも並行して進んだ。伝統に甘えず、伝統を基盤に全員の知恵で新時代を開こうと取り組み始めた。杉山社長は情報をオープンにして「みんなの意見を参考にしながら会社を盛り上げ、スピードと小回りがきく中小企業」を目指している。
リバテープの売上げはいまや全体の30%弱。消毒剤など病院向けが40%、化粧品・健康食品が20%、という。新商品開発の原動力、研究者の数もふやしたいという。大学、公的研究機関、病院など外部の力との連携も積極化している。全員参加、産官学連携を積極化しつつ「第三の創業期」と杉山社長、陣頭指揮をとる毎日だ。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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