リュード株式会社
■新潟の山間地からオンリーワン製品を送り出す
業種:IT関連企業
リュード株式会社
「地方の時代」と言われて久しいが、地域間格差は間違いなく拡大している。その中で政府は中心市街地活性化策や中小企業地域資源活用プログラムを推進するなど地方振興にさまざまな取り組みをしている。IT関連のリュード株式会社は昭和63年に個人事業としてスタート、平成4年に株式会社となった。新潟県の旧松代町松之山(現十日町市)に本社を置く。松之山は周囲を山に囲まれ、冬は積雪が4メートルにもなる。ビジネスをするにはあまり恵まれた環境とはいえないが、長澤久吉社長は全く意に介さない。
長澤社長は「昔はインターネットがなかったので、プロジェクトがらみの会議などだと、すべてのスタッフが一同に会さなければ仕事にならなかった」と言う。ところがネット社会の進展で、こうしたビジネススタイルを採る必要がなくなってきた。「わが社は製品の開発やデザインを日本でやり、台湾企業の中国工場で生産している。意思疎通はメールと電話で、設計図などのデータはインターネットで瞬時にやり取りができてしまう」という。
長澤社長は起業前のサラリーマン時代に米国で仕事をしたことがある。「ゼネラルエレクトリック(GE)の家電部門はロサンジェルスから飛行機で4時間、さらに森の中を延々と走ったところにある。ところが、松之山から東京まで車だと2時間足らず。米国の感覚では2時間なんて同じ街にいるようなもの」と思っている。「今は中小企業がどこにいても競争できる時代になっているし、伸びられる時代ともいえる」わけだ。
同社は携帯電話に関連するソフトとハードを手がけている。マックOS専用ソフト、ウインドウズ用の携帯データバックアップソフト、携帯専用のキーボードなどを次々に生み出している。時代の最先端を走っているといっても過言ではない。それでも松之山に拠点を置いていて何ら痛痒を感じていない様子だ。しかもこれまで世に送り出したものはすべてが自社開発というように、自社ブランド商品にこだわる。社員はわずか10人だが、頭脳集団として開発を手がけ、製品やパッケージデザイン、生産などは外部をうまく活用する。インターネットの機能も最大限に使いこなしているともいえる。
長澤社長は何もない中での起業だっただけに、生まれ故郷で、知人が多い松之山に本社を置いたわけだが、当然のこととして地元新潟を誇りに思っている。同社製品の1号機に「新潟産」と書いたことからもうなずける。長澤社長は「地元はいい」と口にするが、故郷に帰って起業する人が増えれば、その地域が活性化し発展する。地域間格差の是正にもつながるのではないだろうか。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。
▲ TOP
2008年の記事に戻る