琉風株式会社
■「「琉球島和牛」ブランドを立ち上げ」
業種:食材加工流通卸
琉風株式会社
お産を経た母牛のことを「経産牛」と呼ぶ。母牛が黒毛和牛なら子牛たちも高級ブランド牛として育っていく。一方、母牛はお産という役割を終えると価値がなくなり、仮に市場に出されても下からのランクになり、せいぜいミンチの材料にされるのが落ちといわれる。生産農家にとっても母牛は頭痛のタネになっている。
沖縄産黒毛和牛の母牛に注目したのが琉風(株)(那覇市、河野圭一社長)
だ。沖縄食材の流通卸を手掛け、親会社である飲食店経営のワールド・ワン(神戸市、同社長)などに供給している。ちなみに河野社長は元プロレスラー、琉風の沖縄責任者の粟國尚貴氏は高校ラグビー強豪校の元プロップ。体育会系でウマが合う。この2人がある離島に視察に出掛けた際、こうした経産牛の実情を知った。
「これを何とかできないか」と粟國氏は考えた。そして経産牛をブランド商品化するための仕組みが必要と考えた。肉質を高め従来のブランド牛とは異なる土俵で、美味しくて値段の手頃な新ブランド牛を実現するためには、まず沖縄の連携体を作る必要があると。このため互いに強みを持ち寄って新商品を生み出す、中小機構の農商工連携事業を活用した。
その連携体の特徴はブランド豚(アグー豚)の開発実績のある県立北部農林高校が入っていること。飼料の作り込みや肉質改善などを、授業に組み入れて行う。出産後再肥育するのは普通の子牛から育てるのと違ったノウハウがいるが、高校生たちは熱心に挑戦した。経産牛に関するノウハウを持つ山原牧場とも連携を組んだ。
琉風が流通、ワールド・ワンが販売を担当し生産から販売までの点が線につながった。ブランド名は「琉球島和牛」。4月から5月にかけ沖縄ファミリーマートの全204店舗で4週間の計画で琉球島和牛を使った「カルビ重弁当」などを販売し、何と1週間で売り切れた。一方、安心安全を徹底するため6月から全頭の菌検査を行っている。沖縄の新たな市場が回り出す日も近い。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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