(株)埼玉種畜牧場
■夢を追う多角化!実はテーマに沿った一貫経営
業種:養豚業、ゴルフ場経営、温泉事業
(株)埼玉種畜牧場
養豚業、ゴルフ場経営、温泉事業という異業種経営。そこにどのような関連性があるのか。「我が社は、食と健康と農業を結ぶ“畜産農業”が創業以来の経営テーマ。だから、それは経営の多角化ではなく、テーマに沿った本物追求の事業展開である」と力説するのは、畜産農業の理想郷実現を目指す「(株)埼玉種畜牧場」(埼玉県日高市、従業員数124人)の笹崎社長。
同社の創業は昭和21年。先代社長が戦後の平和復興への思いから、現本社地域の雑木林を開墾して牧場を建設、種豚の生産からスタートしたのに始まる。二代目となる笹崎社長は、種豚の品種改良と精肉の高品質化を繰り返す一方で、昭和50年頃から消費者の生の声を聞く直売店を開き、ハム・ソーセージ、デリカテッセン、調味料などを自家製造、製販一体型経営を確立した。
特徴的なのは、豚を豚舎に閉じ込めず、放牧場で伸び伸びと育てる飼育方法。この方法で名豚を生み、食通家が「美味絶佳の食品」と評価するほどのオリジナルブランド豚肉「ゴールデンポーク」を開発。平成11年には本場ドイツのコンテストにおいて、このゴールデンポークを原料にしたハム・ソーセージで、数多くの金メダルを獲得、一躍世界的レベルの企業に躍り出た。国内では、品質重視の限定生産のため、全国展開はしていないが、“サイボク”製品として、そのファン層は着実に広域化している。
地元では、産地に直結した精肉と加工食品の直売店の他、レストランも運営、更に牧場堆肥を活用した野菜類や観葉植物の栽培・販売、そして家族が楽しめるパークゴルフ場や陶芸教室も経営する。周辺一帯が観光スポット化しており、何と年間380万人余がここを訪れるという。
仰天するのは、平成14年に本社牧場跡に温泉を掘り当て、今夏には日帰り温泉施設がオープンするという。農家と消費者を結ぶ“楽農広場”も本格的に拡張するなど、“食と健康と農業”事業は益々勢いづき、将来は生活文化のテーマパーク「ライフピア」構想を展開する考えだ。
極上のハム作りを原点に、第1次産業の牧畜から第3次産業のサービス業まで行うという一貫経営。異例なだけに、そのユートピア(理想郷)を、是非見てみたい。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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東京労務管理総合研究所
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