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2007年の記事

 

 

 

株式会社 斎藤農機製作所

 

■本業を離れるな、本業を続けるな、本業の中身を変えよ

業種:農機メーカー
株式会社 斎藤農機製作所


どの企業にとっても基本となる本業があってこそだ。本業が栄えていなければ、存続しないし、長く続いている企業には社会に役立っている業がある。とはいえ本業に安住は禁物だ。本業と思い込んでいるのは、当の企業だけで、当の企業が本業と誇る業が、厳しく時代や社会、市場によって鍛錬され、自らも絶えまず磨くことを怠ると、何百年続いた企業も明日がない。慢心から本業を自ら崩壊させている企業を数え上げるに枚挙のいとまが無い。株式会社斎藤農機製作所(山形県酒田市、齋藤成徳社長)の社訓「本業を離れるな、本業を 続けるな、本業の中身を変えよ」には本業におごらず、甘えず、絶えず顧客のニーズに敏感で、時代・市場の変化を十分汲み取ろうとする同社の深い考え方が読み取れる。

同社は創業1927年(昭和2年)の古参の農機メーカー。同社のある庄内平野は、最上川河口に広がる、ブランド米で知られる指折りの穀倉地帯。老舗企業として、また、地元では数少ない完成品メーカーとして農業機械の開発・設計から製造販売まで一環として手がけ、地域産業の発展を担ってきた。コンバイン、自走カッター、にんじん収穫機、大豆脱粒機、ほうれん草調整機など収穫関連機はもとより、独自の草刈り機、全自動苗箱洗浄機など、他メーカーの協力があったものも含め独特の「サイトー」ブランド農機を続々送り出し、庄内地区の農業の機械化が進んでいるのは、同社の存在があってこそといわれるまでになっている。社訓は脈々と活かされ、農業の機械化、省人化の厳しい要求に商品開発に懸命かつ柔軟に対応してきた。本業の技術のイノベーションを怠らなかった。

同時に社訓に込められた精神は事業の多様化にも表れた。87年(昭和62年)に精密板金加工に進出したのはそのひとつだ。農機はどうしても季節商品、生産量に波がある。年間で山谷の少ない生産を続けるには多角化が選択肢のひとつだ。ドイツ製のレーザー加工機を3台導入、薄板から厚板まで加工できるようにした。新しい柱に育ってきている。96年(平成8年)から、同社は大胆にも3次元CADを用いた光造形に乗り出した。光硬化性樹脂を紫外線レーザーの照射により携帯電話部品や自動車部品、人体模型とハイテク分野へ分け入ったのだ。三本柱となった。

社訓は経営戦略に息づいている。三本柱といっても本業は農機。精密板金で得た新技術、光造形で得た知見、それぞれの部門で発達させながら、その成果は本業の農業機械部門の開発に循環させている。さらに、そこで得たものを、精密板金、光造形の一段の革新に活かしている。本業を新しいニーズ、新しい技術で絶えず磨いていく。その向上心と緊張感が同社を堅実だが新しい気風がみなぎる企業、地元に信頼される企業にしている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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