櫻井精技株式会社
■リーディング産業が集う九州こそ事業拡大の桧舞台
業種:精密機械加工、自動機の製造
櫻井精技株式会社
自動車や半導体関連など日本のリーディング産業が集積する九州。これらの産業集積が地域活力を生み、地元企業に与えるインパクトも大きい。シリコンアイランドの一角を担う熊本に創業した櫻井精技株式会社(熊本県八代市、櫻井一郎社長)は、地域に広がる新産業群との交流でビジネスチャンスをつかみ、頭角を現した。地の利を活かして、リーディング産業の製品を検査する装置で名を上げ、九州屈指の研究開発型企業に育った。
同社の前身は造船業。当時身に付けたプレス板金加工を主力に会社を設立したのが1965年。その後、金型製作に乗り出して技術領域を拡げ、九州に進出していた大手電機メーカーの機械部品加工を手掛けるようになる。これが経営の転機となった。取引を深める中で、精密な機械加工技術を修練し、自動機の製造技術を学んだ。さらに、ここ10年程は国が認定する産学連携共同研究事業、地域新生コンソーシアム研究開発事業、地域結集型共同研究事業などに積極的に参加した。公的プロジェクトに取り組むことで製造技術に磨きをかけたわけだが、この頃は新産業群の九州進出が相次ぎ始めた時期でもあり、連携事業で開発した製品のユーザー獲得にも拍車が掛かった。いわば異業種交流の手法を事業展開に取り入れて成長路線を突っ走ってきた。
造船業からプレス板金加工、金型製作、機械加工と技術を積み重ねてきた同社。現在、精密な自動機の製造技術を基に、エレクトロニクス分野の検査装置を主力製品としている。その検査装置はオーダーメードで製作する。ユーザー本位の装置だから取引関係は深化する。その点が同社の強みでもある。当初は半導体向けに偏っていたが、薄型テレビ用ディスプレー向けや、自動車電装部品用を含むエレクトロニクス向けが増え、3分野が均衡化する状況にある。今年春、検査する対象物の大型化に対応して新工場を建設し、戦略・体制も一新した。次の飛躍舞台を整えて、事業拡大を期しているところだ。
同社が順調に伸びている最大の要因は、九州に新規進出した新産業群のニーズを的確に捉えた点にある。「取引先に教えられ、育てられた」と述懐する櫻井社長だが、ユーザーの注文に応えてモノ作り技術を進化させたのは事実。それはリーディング産業分野に切り込んでいったチャレンジの成果でもある。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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