櫻井精技(株)
■「チャンスを見逃さない経営手腕」
業種:エレクトロニクス工場向けの自動機メーカー
櫻井精技(株)
地道な取組みによって、一気に花を咲かせた中小企業がある。エレクトロニクス工場向けの自動機メーカー、櫻井精技(株)(熊本県八代市、櫻井一郎社長)は平成23年4月期の売上高が約80億円で、前年度比320%増。リーマンショック後の落ち込んだ売り上げも、V字回復に成功した。
同社の設立は昭和40年9月、造船業からスタートした。最初はプレス板金加工と溶接を中心とし、後に金型製作を内製化するようになった。その上で機械加工に参入した。仕事の中身は大手電機メーカーのFA事業部の自動機部品加工。この仕事が、その後の発展の土台となる。
メーカーから学んだ自動機の製造技術をさらに磨いた。現在の生産品目別の売上高に占める割合は、プリント基板製造装置が40%、半導体の前工程検査装置が20%、液晶ディスプレー組み立て装置が20%など。これら製品の3分の2がOEM(相手先ブランド)生産だ。
ここまで育ってきたのは造船業からプレス板金加工、機械加工と長年にわたり地道に技術基盤を積み重ねてきたことが大きな要因といえる。その上で半導体・液晶関連の検査装置を手掛け、一気に花開いた。地の利もあった。熊本は国内で有数の半導体・液晶関連産業の集積地。また自治体や試験研究機関はこの分野の新事業・技術開発を最優先で支援する。櫻井社長は積極的に活用し、支援を受けて得た成果も製造技術に応用した。
マーケティングと販売は自前で力をつけてきたが、「周囲の皆さんにお世話になった」と櫻井社長は話す。今や自動機に必要な組み込みソフトも自社開発する。このため「情報が漏れることはなく、改良したければすぐにできる」(同社長)とメリットは大と強調する。技術の流れやチャンスを見逃さない、櫻井社長の経営手腕に注目する人は多い。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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