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三和ダイヤ工販(株)

■「工業用ダイヤモンド一筋に」

業種:工業用ダイヤモンド製品製造
三和ダイヤ工販(株)


「先代社長である父がある時、歯科医院でドイツ製の工業用ダイヤモンドを使った金属のバーで患者の歯を削る光景を見て、それは何かと歯医者に尋ねたところ、大変高価なものであることが分かり、先代はこれを仕事としてやればいいのではと考えたようです」。三和ダイヤ工販(株)(大阪市)の松田雄策社長は、同社と工業用ダイヤモンドとの最初の縁についてこう語る。

先代社長が創業したのは今から70年ほど前で、工業用ダイヤモンドを使ったカッターや一般研削砥石を成型するダイヤモンドドレッサーなどを作り出した。その中でも特に評価が高いのは、ダイヤモンドバンドソーマシンの発明だ。現在は太陽光発電用の結晶シリコン、液晶テレビ用の石英マスクなど硬質・脆(ぜい)性材料の切断に多く使われている。この2つの分野は現在の同社の「2大客先」でもある。

松田社長がトップに就任したのは平成3年。だが大きな壁となって立ちはだかったのが数十億円に上る相続税。会社、個人の資産をほぼすべて売却して税の支払いに充てた。このため会社はゼロからの再スタートという、苦難に満ちた「第2創業」となった。しかしユーザーは同社を見捨てることはなかった。

これはユーザーが同社の技術を高く評価していたうえ、その製品は特許製品であり、よそでは作っていなかったという事情もあった。同社の技術を求める注文は間断なく続き、平成10年には大口径ダイヤモンド穿(せん)孔機を開発した。これを使い、高速道路の橋脚を作る川底工事で、川の流れる水の上から鉄筋コンクリートに穴をあけ、外径、長さとも1メートルを超えるコンクリート鉄筋コアを300本、10カ月間かけて引っ張り出した。

これは新工法として大きな実績となり、これに引き続き太陽光発電用シリコン切断装置への需要が飛躍的に高まった。平成19年には中小機構が運営する甲南フロンティアパーク(滋賀県甲賀市)に工場用地を取得し、翌年奈良に続く2番目の工場として稼働した。機械装置の生産増強、開発拠点として重要な役割を果たしている。工業用ダイヤモンド一筋に進み、しかも特許製品という独自性を前面に出した戦略が成長の源といえる。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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