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2011年の記事

 

 

 

 

澤井珈琲

■「経営のヒントはいたるところに」

業種:コーヒー豆の卸売り、小売業
澤井珈琲

新聞や雑誌、各種の会報などからビジネスのヒントを得るケースは意外に多いものだ。新技術や新製品の開発動向だけでなく、話題になっている事柄の解説、製品の販売ノウハウなど、経営に欠かせない内容が盛り込まれている。しかし、漫然と読んでいると、重要な情報を見落としてしまうが、何か役立つ情報がないかを念頭に置いていると、ビジネスヒントが必ずどこかに隠れているものだ。

澤井珈琲(鳥取県境港市)は「2003年の春、新聞に出ていた記事が目に止まった」(澤井幹雄社長)ことが新商品開発のきっかけになった。「コーヒー豆には食物繊維のトリゴネリンが含まれており、脳を活性化させる」という内容。「浅く焙煎したコーヒーにはトリゴネリンが多い」と書かれていたことから、早速、コーヒー豆を浅く焙煎し、論文を発表した富山医科薬科大(現富山大)の服部征雄教授に持ちこんだ。

「開発に協力して欲しいとお願いした」(同)ところ服部教授から快諾を得て、様々なデータの提供を受けた。このデータを基に鳥取県産業技術センターで開発に着手した。浅く焙煎しただけではコーヒーの香りやコクが出てこない。一方でモカコーヒーは低温で焙煎するとトリゴネリンの成分が多くなることがわかった。実験を繰り返す中で、普通に焙煎した豆をブレンドすることを思いついた。実際にブレンドすると、深い味わいのコーヒーが生まれた。しかも、トリゴネリン成分も通常のコーヒーより多いことがわかった。

トリゴネコーヒーとして売り出したところ、お茶の国である台湾や韓国からも引き合いが多く寄せられるようになり、台湾ではデパート内に販売店を置くほどになった。ネット通販にもいち早く取り組んだ。これも地元商工会議所の会報からヒントを得たものだ。会報に「ネットでモノが売れる」と書いてあったことがきっかけになっている。「山陰で全国区のビジネスを展開するには、ネットで市場を開拓することが最も効率的」(澤井社長)だと考えた。

自前のホームページだけでなく、その後急成長した楽天などのネット通販を活用した。しかも当時としては身の丈以上の広告料を払い、ドリップ用機材とセット販売するなど様々なアイデアを駆使した。今では60%以上がネット通販での売り上げとなり、楽天などで連続して売り上げナンバー1商品になっている。新聞などに出ていた記事をヒントに、知恵を使い積極的に関係者にアプローチしたことが、大きな成果に結びついたことになる。経営のヒントはいたるところに転がっている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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