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2007年の記事

 

 

 

セキサーマル株式会社

 

■金属加工がある限り熱処理は残る

業種:熱処理
セキサーマル株式会社


「金属加工がなくならない限り熱処理はなくならない」−セキサーマル株式会社(新潟県燕市)の関正広社長の持論だ。事実、熱処理は紀元前から続いている。つじつまが合わないことを「矛盾」という。韓非子が著した一遍に「どんな盾も突き抜く矛」と「どんな矛も防げる盾」を売っていた楚の商人の逸話がある。客から「その矛でその盾を突いたらどうなるか」と聞かれ、商人は言葉に窮したという有名な話。矛も盾も熱処理を施した結果、強靱なものに仕上がったのだろう。韓非子が論陣を張っていた紀元前3世紀には焼き入れや焼き戻しの技術は確立していたのだろう。

熱処理は鉄の発見とともにその歴史が始まったというから、紀元前18世紀頃には祭器や武器とし鉄や銅の加工が行われ、とりわけ剣や刀などの武器は強靱なものが要求されたため熱による加工法が進化したと思われる。関社長がいう通り、熱処理は先端技術に比べ目覚ましい進歩はないものの、紀元前から今日まで脈々と続いているわけだ。

セキサーマルが本社を置く新潟県燕市は金属加工のメッカであり、同社の熱処理も作業工具などを加工する中で培われた。同社は旋盤加工メーカーの熱処理工場から発展したもので、昭和42年(1967年)に専業として独立した。当時は専業の熱処理業は珍しく、社内にも独立に反対があったという。ただ関社長は「熱処理は将来の需要が見込める」と反対を押し切り、塩浴加熱炉の設備を導入した。その後、塩浴加熱炉だとどうしても排水問題がネックになるため、ガスを用いた炉に転換した。

熱処理は形がない。売り込みの尺度は唯一「信用」である。ユーザーから信頼が得られなければ事業として成り立たない。ユーザーの信用を勝ち取るため、同社は技術習得に熱処理炉メーカーの講習を受けたり、ISO認証を取得したりと様々な対応をしている。こうした中で蓄積されたノウハウが「部品さえあればどんなことが起きても対応できる」という自信につながっている。

「熱処理は未来永劫なくならない」としても、よほどのことがない限り、爆発的な伸びも期待できない。その中で同社が熱処理と並ぶ経営の柱に育てたのが熱交換器だ。基盤の熱処理技術があったからこそ生まれたといえる。同社はエネルギー問題や環境問題を自分の問題と捉えており、現在は高機能廃熱回収システムの開発も進めている。「熱処理がなくならない限り、エネルギーや環境対策もなくならない」と考えているようだ。 


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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