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2009年の記事

 

 

 

(有)瀬野精機

■ミクロン単位の加工は手作業で

業種:精密加工(キサゲ加工)
(有)瀬野精機

精密加工の(有)瀬野精機(東京都大田区)の瀬野光義社長は、大手企業に勤務した後、独立し、今年でちょうど40年になった。手作業で金属面をきちっとした平面に仕上げていくキサゲ加工の名人だ。東京都の「東京都優秀技能者(東京マイスター)」や大田区の「大田の工匠 100人」にも選定されている。

キサゲ加工はその名のとおり「キサゲ」という彫刻刀のような道具を使い金属面を削っていく。まず、加工したい面に薄く均一に光明丹(こうみょうたん)を塗る。次にその面に定盤をこすり合わせる。そうして色が落ちた部分をキサゲで削り落とす。再度、光明丹を塗り、削るという工程を繰り返し、最終的には色が落ちた部分の濃淡が均一になったら平面が出たということになる。作業は多い場合は10回以上も繰り返す。

瀬野社長は削るときには絶対に椅子には座らず、立って腰を曲げたまま作業する。座ってしまうと力が入らないからだ。一定の精度までなら機械加工も可能だが、ミクロン(マイクロメートル)の精度を出す場合、機械だと熱が発生し、歪みが出てしまう。キサゲ加工は手作業のため歪みを抑えることができるのだ。

(有)瀬野精機は工作機械の修理も得意だ。「工作機械なら何でも直せる」と瀬野社長は言う。戦前に作られた工作機械も修理する。「ちゃんと修理してあげれば1世紀は使えるんだ」と。設計図のない中、構造と一つ一つの部品の役割をきちんと理解しながら分解していく。納期には新品同様になって元の巣へ戻っていく。そのビフォー・アフターの違いは驚くべきものだ。

景気のいい時、納期前の徹夜は当たり前だった。ストーブの前に段ボール敷いて寝たことも一度や二度ではない。高い技術力と熱意でオイルショックやバブル不況を乗り越えてきた。ただ、「今回の不況は本当に厳しい」と言う。日本を支えてきた大切な技術と職人。大切に守っていかなければならない。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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