枚岡合金工具(株)
■「3Sで生まれ変わる」
業種:自動車向けなど各種金型製造
枚岡合金工具(株)
整理、整頓、掃除。この「3S」が、職場でも家の中でもどこでも大切だとは、誰もが共有できる思いだろう。しかし、"言うは易く、行うは難し"。分かっていてもなかなか実践できないのが3Sでもある。自動車向けなど各種金型製造の枚岡合金工具(株)(大阪市)は、その難題に会社の存続を賭けて取り組んで、3Sにより危機的状況から甦った。
15年ほど前。バブル崩壊が重くのしかかり、年商は最盛期の4分の1にまで落ち込んだ。このままではいつ潰れてもおかしくない。何とかしなければ。思い悩んでいた古芝 保治社長(現会長)は、勉強会の一環で京都のある工場を訪れた。テーマパークのように綺麗で床にはごみ一つ落ちていない。何より、働いている人たちが笑顔で挨拶し生き生きしている。これだ!と思った。以後、京都の工場を指導したコンサルタントを師と仰ぎ3Sを徹底。清潔としつけを加えた5Sへと推し進め、3S・5S効果で業績を急回復させた。
3Sでなぜ業績が回復したのか。「徹底した3Sにより、社員の人格が変わって、各人が自発的に改革に取り組む風土ができ"社格"も変わった」「10年以上継続してきて分かったのは、3Sは科学的な経営手法に見事に合致するということ。微差大差の言葉の通り、日々の小さなこだわりの積み重ねが、ご褒美となって還ってくる」。実体験に裏打ちされた古芝会長の説明には、聞く人すべてをうなずかせる説得力がある。
同社の3Sへの取り組みは大きな副産物を生み出している。3Sそのものが新規ビジネスとして立ち上がったのだ。工場の3Sの延長でオフィスにおける「情報の3S」に目を向けて開発、商品化した文書管理システム「デジタルドルフィンズ」を中核に、3S活動や文書管理のコンサルティング、ホームページ制作などを次々と事業化した。それらを束ねる3S経営革新事業部は、今では本業の金型事業部と並ぶ2本柱に成長した。
「生」「休」「半死」「死」。3Sの入り口となる整理の基本は、モノを要るものと要らないものに分けること。同社では、4時間以内に使う、5日以内に必要、6か月以内に必要、6か月以上使わない−の四つに分け、それぞれ生、休、半死、死と名付けて、死の分類に入ったらどんなに高価なものでも処分している。こうしたシステムが評判となり同社工場への見学者は引きも切らない。古芝語録の「3S活動は最高のセールスマン」「工場は最高のショールーム」をまさに有言実行している同社である。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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