信光社
■人も企業も単独では生きられない
業種:結晶と光技術の融合
信光社
人も企業も単独で生きていくことは不可能だ。いくら大企業でも材料調達からアセンブリーまで全てを1社で成し遂げるのは無理だろう。まして中小企業は人材面でも資金面でも大企業に比べてはるかに不利だ。信光社(横浜市)の米澤勝之社長は「中小企業は一匹オオカミでは生きていけない。拡大戦略よりも連携が大切だ」と言う。裏を返すと、さまざまなセクターと連携することにより、拡大戦略の道も開けるこということになる。
信光社は結晶と光技術を融合することで製品競争力を高めてきた企業だ。人工宝石の加工からスタートしたが、青色発光ダイオード(LED)用サファイア基板の用途開発に成功、LEDメーカーがこの技術力と品質を高く評価したことから世に知られるようになった。さらには、ルチル単結晶を活用した広域防災監視用光センサーなどを次々に製品化した。これらの技術開発や製品化にあたり、大学や公的機関などとさまざまな形で連携し、かつ上手に活用している。
米澤社長は「収益の観点だけで研究開発に目をつぶることはあり得ない」と断言する。大企業が費用対効果を考え二の足を踏むような高度な開発案件であっても、同社では積極的に取り組むことにしている。公的機関や大学と連携するケースが多いが、製品化までに7年近くの歳月を費やすこともしばしばだ。ただ、開発に当たって大学や公的研究機関、大企業などが控えているという安心感を持っている。連携の強みである。
同社は経産省の「中小ものづくり高度化法」も活用した。「燃料電池車の補助電源などで利用が見込まれる固体電解質酸化物単結晶の開発」について適用を申請、平成18年に認定されたため、政府系金融機関からの融資が受けられた。これ以前にも公的機関からの支援を受け、多くの技術を開発しており、神奈川県の工業技術開発大賞を2回も受賞している。将来の先端技術開発にいち早く取り組むためにも、公的機関の活用は不可欠だ。
日本のピラミッド型産業構造は助け合いの構造ともいえる。頂点にアセンブリーを中心にした大企業があり、部品メーカーやその協力企業、さらには2次・3次の下請け企業が底辺を形成し、アセンブリーメーカーを支えている。中小企業が生きていくためには、取引先だけでなくあらゆる業界の人達と力を合わせる必要がある。さらに、国や地方自治体、公的研究機関、大学、高等専門学校などと連携することで相乗効果が生まれるだろう。最近は産学連携や産学官連携、新連携、農商工連携など、行政主導の連携形態が生まれている。連携により、足りない技術やノウハウ、販売ルート、資金などを補うことで、次世代のモノ作りに役立つと思う。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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