(株)食文化
■「食のネット会社が国産マカを広め、農業改革の一翼も」
業種:食品のネット通販等
(株)食文化
ゼネコンから食のネットビジネスへと華麗な転身を図り、食品関連の新規事業を次々、展開しているのが食文化(東京)社長の萩原章史さんだ。テレビ番組や雑誌とのコラボ企画、総合商社や大手流通業との提携事業などあの手この手を繰り出して、業容拡大を図ってきた。そんな萩原社長が今、力を入れるのが、“アンデスの秘宝”と称されるマカを日本国内で栽培して、普及させる取り組み。「中山間地でも、手間いらずで生育するマカは、TPP(環太平洋経済連携協定)時代の農業にうってつけ」(萩原社長)と、わが国農業改革の一翼を担おうともしている。
食文化は2001年4月に、その前年までゼネコンに勤め、直近10年間は米国支店で働いていた萩原社長が設立した。2000年の大晦日に萩原社長はゼネコンに辞表を出す。仕事のやり尽くし感、ゼネコン不況で会社が銀行管理の状態、40歳が目前に迫り、時代は21世紀に変わる…これらが重なり合って、子供の時から料理好きといった“本性”を生かせる食品関連事業の起業に踏み切った。
うまいもんドットコム、築地市場ドットコム、目利き問屋、築地からの直送便…。地方の地場食材や東京築地市場の青果物などを取り扱うネット販売サイトを次々と立ち上げ、時流に乗った。持って生まれた食への強い関心と、米国で鍛えられたビジネスセンスが、食のネット事業に生きた格好だ。現在、注力中のマカ事業は、以前から、アンチエイジングの専門家などと「マカっていいよね」とマカに注目していた萩原社長が、ある農業者と出会ったことから具体化する。
話は15年前、平成12年(2000年)に遡る。その年、大阪で国際花と緑の博覧会が開かれ、ペルーからフジモリ大統領の計らいでマカが出展され、農業者3人が種を譲り受ける。爾来、マカの国内での栽培に腐心し、品種改良などを重ねた結果、数年前、ようやく東北・会津の農業者がつくれるようになる。ところが、国産マカの事業化に乗り出そうとした矢先に原発事故が起き、途方に暮れる。その話を知った萩原社長が「手伝います」と名乗りを上げて協業体制を整備、いよいよ本格展開の段に至った。
マカはアブラナ科の植物で「ひとかじりするだけでポカポカする」(同)。滋養強壮、疲労回復、冷え症の改善、美肌効果など、さまざまな効用があるとされ、さらに、品種改良した国産マカの方が、本場物より有効成分が多いことも分かってきた。現在、市場ではサプリメントとして供給されているマカを、同社では、おいしい農作物として提供していく。萩原社長は「機能性成分の多い農作物は日本農業の武器になる。ジャパンブランドのマカを世界に広めたい」と“日本の秘宝”の普及に意欲満々だ。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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