昭和電機(株)
■「1人1個流し生産で成果」
業種:送風機等製造
昭和電機(株)
日常生活でわれわれの目に直接触れることはないが、様々な産業機械を作る企業にとって不可欠のものの一つが「風」。そうした企業は風の強さ、方向、周期など個々のニーズが異なる。この風を送る装置が工業用の電動送風機。会社創業以来、モーターと羽根車が直結した送風機を高度な風力技術で供給している中小企業がある。
工業用の電動送風機で国内の6割近いシェアを持つトップメーカー、昭和電機(株)(大阪府大東市、柏木武久社長)である。送風機のほかオイルミスト捕集機、集塵機などの製造も手掛ける。送風機に代表される「流れの技術」と「回転機の技術」を軸にして新製品開発、生産革新などに積極的に取り組む。
同社の成長の秘密は、「多品種・少量生産、短納期」に対応した生産革新に徹底的に取り組み、その生産体制を確立した点にある。同社は年間平均1500種の新製品を新規に設計し、現在製品数は約2万種に上る。その半分が特注品のため、同社の生産体制は受注後生産が基本。その中で標準品は受注後4日間で製造できる体制をつくり、特注品についても1週間〜1カ月で出荷できる。
これを可能にしたのが製造技術者の多能工化。生産革新活動を通して従来のライン生産流しから、「1人1個流し生産方式」に変えた。加工、組み立て、検査、包装の工程を1人で製品1個ずつ生産する、同社の特徴ある生産方式である。標準品製造のリードタイムが半分以下になるなど大きな成果を上げている。
生産革新活動を部品製造などを行う協力会社と一緒に取り組むのも特筆できる。平成21年に導入した協力会社との電子データ交換(EDI)システムは、昭和電機(株)の部品在庫を協力会社に公開し、相互に適正な部品在庫の管理を目指す。平成22年からは部品図面の共有も始めている。業界に先駆けて高効率電動送風機を開発、市場投入も開始している。柏木社長の掲げる顧客、従業員、協力会社、地域との相互のメリットを求める「相利共生」路線は揺るがない。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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