(株)スカイフィッシュ
■「情報格差の解消を目指して」
業種:ソフトウェア製品の開発・販売・サポート
(株)スカイフィッシュ
大塚雅永社長は栃木県宇都宮市内の一般住宅の6畳二間に仲間5人と共に(株)スカイフィッシュを立ち上げた。平成17年9月のことだ。業務内容がソフトウェア製品の開発・販売・サポートなので「栃木にいても東京と同じビジネスができる」と確信した上での事務所の選択だ。今秋で丸6年の若いベンチャーだが、IT業界の巨人・マイクロソフトからも期待されている小粒でもピリリと辛い企業だ。
「視覚障害者や高齢者にも優しいパソコン用ソフトを開発し、情報のバリアフリーを実現したい」と11年務めた前職のコンピューターソフト会社を辞めたのが同年6月。大塚社長は無職のまま日本マイクロソフト(株)を訪ねる。新OS(基本ソフト)「ウィンドウズ・ビスタ」の視覚障害者向け日本語読み上げソフトを新OSと同日発売したい、とその場で切り出した。
今までの同種ソフトは、ソフトの発売日がかなり遅れるのが常で、同日発売のためにはマイクロソフトが保有する情報の事前提供を受けるなど、支援が必要となる。大塚社長の申し出はすぐマイクロソフトの米本社にまで届いた。米国では障害者に対する支援は課題として認識されており、障害者の使えないソフト、ハード機器は政府調達ができない法律もある。
大塚社長のバリアフリー実現にかける熱い思いが伝わり、「面倒見ましょう」という言葉につながった。「懐の深さを感じた」という大塚社長。これが世界で唯一、ウィンドウズ・ビスタと同日発売した日本語音声化ソフト「フォーカストークVer2.0」である。
これ以降、バリアフリーから発展した幅広い音声化ソフト製品開発に弾みがつく。パソコン上の文字・文書ファイルを一元的に扱い音声化する「ジュークドックス」やパワーポイントのスライドショーを自動実行しながら内容を即時にナレーションする「リアルナレーターズ」。事業の3本柱が出来上がった。大塚社長はさらにこれらソフトのパッケージ製品からクラウドサービス化へという青写真を描く。起業がスムーズにいくには、確固たる信念が結果につながっていくのではないかと思われる。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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